芸術は爆発だ
前回が短めのエピソードのオムニバスでしたが、今回はさらにオムニバスでしたね。最初は「芸術作品とは審査員の好み次第」というお話でした(笑)。真面目なヘンダーソン寮長はお偉いさんのジャッジにいささか疑問を持っていたようですが(笑)。
アーニャは必死で一応は父の任務を成功させるために協力しているつもりなのですが・・・とにかく力が伴っていない(というか、アーニャって実の年齢はもっと下なのではと思うのですが)のでドタバタを引き起こすという例のパターンです。もっともダミアンの方も壮大な構想は持っていたようですが、それを実行する実力の方は今ひとつ不足していたような気も・・・アーニャに足を引っ張られなくても大した作品は作れてなかった気がする。それにしても最初はボンドだったはずのが、後で適当に羽を付けてぐりほんになっているっていうアーニャの工作の腕は笑える。
で、アーニャの任務への必死さが、見事にベッキーに勘違いされてしまいました。まあしかし普通にBoy meets Girlストーリーとして考えたら、いきなり少女が少年をひっぱたくってのは非常によくあるパターンなのですが(もっともアーニャの場合は、ひっぱたくというレベルでなく右ストレートでぶっ飛ばしてしまいましたが)。しかし「父さんにだってぶたれたことがないのに」のお坊ちゃんは、それが強烈なインパクトになってマジで気を惹かれてしまっているようですが。ベッキーが「パンを咥えて走りながらぶつかる」というお約束パターン(現実にそんなシチュエーションあり得ないだろという展開なんですが)をアーニャに伝授してましたが、別のお約束パターンを実はアーニャは既に実践してしまっているという。
各人の背景を描くショートショート
後半はEDを挟んでショートショートの2連発です。最初は鋼鉄の淑女ことハンドラーのシルヴィアさんです。西側のスパイを一手にコントロールする完全無欠のハードボイルドレディですが、それだけに「買いたてのコートにタグが付いたまま」なんてポカはさすがに怖すぎて指摘できないという・・・。ロイドもスパイになってから、彼女にかなりのスパルタ(彼女によると愛の鞭らしいが)で鍛えられたようですから、彼女に対する恐怖みたいなものは徹底的に刻まれてるんでしょう(笑)。もっとも彼女も相当に複雑な背景があるみたいです。紹介で「独身」と言ってましたが、前々回の時に「私にもあのぐらいの娘がいたことがある」と言ってましたから。あの時のテロリスト共に対する怒りの言葉の中からも、恐らく彼女は旦那か恋人かを戦争で亡くしたんだろうなというのが覗えました。いずれは原作の方で彼女の過去の一端が出てくるんではと思ってますが。
一方のロイドはと言えば、彼女と同様に戦争での苦すぎる記憶から、全てをすてて平和のために任務に命がけで臨んでいるというハードボイルド男・・・のはずなんですが、どうも今の任務になってから調子が狂ってきてます。完全な親バカ報告にハンドラーが「こいつ、何を言ってるんだ」でしたが、ロイド自身は多分自分のズレっぷりに気がついていないという。まあ実はこの辺りも本当はこの作品の核心なんですが。
ラストは「こうして姉は料理の腕は全く上がらないまま、弟は丈夫な身体を手に入れてしまった」というお話。どうもユーリ君は、愛する姉のおかげで何度も死線を彷徨った結果、毒も効かずにトラックにひかれても死なないという超人的ボディーを手に入れたようです。何度も死にかけながら復活する度に強くなるというスーパーサイヤ人のような奴です。もっとも精神の方は全く成長しなかったようですが。
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