白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

SPY×FAMILY 第16話「ヨル's キッチン/情報屋の恋愛大作戦」

料理で悪戦苦闘するヨル

 今回は短めのエピソードを2本のオムニバス構成。最初はヨルがロイド達に隠れて秘密の特訓をという話。

     
原作コミック最新10巻発売中

 ヨルの料理の腕が壊滅的だというのは明らかなんですが、料理云々以前の年齢で両親を亡くし、弟を養うためにとにかく何でも良いから食わせていたというのが原因のようです。しかもこの弟が姉さんのためなら正常な味覚も常識もぶっ飛ぶというタイプだっただけに、ヨルは料理の腕が壊滅的なまま成人し、弟の方は丈夫な身体を手に入れたと。

 ただ料理が下手というのには2タイプあって、とにかく異常に不器用であるというタイプと、そもそもの味覚自体がおかしいというのとがありますが、ヨルの場合はロイドの食事が美味いということは分かっているようだし、味覚自体がおかしいというわけではないようです。ただ基本的にどんなものでも食べてしまうから、何が正解なのかの判断は出来ていない可能性あり。なお不器用という点に関しては、殺人以外に関する技は確かに不器用なようではあります(不器用と言うよりも、力加減とかがまるでおかしい)。そう言えばアーニャも「父嘘つき、母乱暴」って言ってたな。

 で、今回のエピソードは、最初のエピソードでかなり嫌な奴になってしまっていたヨルの同僚のカミラに対する救済エピソードでもあります。最初のエピソードだと彼女邪悪すぎですからね。ヨルのことを内心見下していて、パーティーに招いて恥をかかせてやろうという救いようのない根性悪女になっていた。さすがにそれじゃあんまりだから、恋人の口から語らせていたように「口は悪いけど、実は結構良い奴」ってところを猛烈にアピールしてました。この作品って、登場人物は全員いろいろな意味で滅茶苦茶だが、目下のところは本当に根っからの悪党ってのは主要キャラには登場してませんね。

 

 

フランキー君の悲惨な恋愛物語

 後半はモジャモジャことオタ山地味男君の情報屋フランキーの恋愛玉砕物語。まあ彼が女に惚れた時点で玉砕するのはお約束だったんですが。シガークラブの店員に惚れて、味なんて分からない葉巻を吸いに通っていたという空回り。ただ情報屋だけあって、彼女の情報はロイドが「ストーカー?」ってドン引きするぐらい集めてましたが(確かにストーカーだわ)。しかしそこから自然な会話に持っていく方法が分からない・・・ってこれって年齢=彼女いない歴の男のあるあるだわな。その手の男は女性、特に意中の女性を相手にするとまず自然に話をすること自体が出来ないという。うーん、境遇としては理解できるわ。あまり理解はしたくないんだが。

 昔は男尊女卑で女性が一人で生きていける道はほぼなかったので、非モテ男でも社会的に女性があてがわれるところがあったのですが、今は女性が自立している時代なので、女性の選択権が強くて非モテ男は余計に肩身が狭いと。だから非モテに限って男尊女卑社会に憧れて差別主義者になるなんてこともあったりします。まあ私はそうなったら人間終わりだと思ってますが。

 で、そういう奴のことは、任務でスラスラと普通に女を口説き落とすイケメンロイドには本当の意味では理解できないだろうな。彼の場合は普通にしているだけで女の方から近寄ってくるタイプだから。「戦略的話術」なるものをフランキーに指導していたが、フランキーにしたら「こんなにパターン覚えられるか!!」ってごもっとも。結局、世の中はモテ男ってのは女性経験が多くなるから、自然と対女性スキルが磨かれるんだけど、非モテは女性経験がないもんだから、対女性スキルもひどすぎてさらに非モテ街道を突っ走ることになるという格差社会です(笑)。日本ってどういう家庭で生まれたかで将来が決まってしまう貴族社会化しつつありますが、このような親ガチャだけでなく、容姿ガチャでも人生のかなりの部分が決まってしまうという・・・いかん、こっちの話題は私自身が身につまされて鬱になりそうだ。

 見事にフランキーは玉砕したわけだが、心を読んでそれを察して、涙目で励ますように叩くアーニャが一番笑える。あそこで台詞がないところがアーニャらしいし、この作品のセンスの良いところだわな。私だったらセンスがもっとコテコテだから「大丈夫、人生いつか良いこともある」「どういう意味だよ!!」というコテコテのやりとりをどうしても入れてしまうところだな。

 で、何だかんだでロイドはしっかりアフターフォローを入れている。実はこういうマメさもモテ男の条件らしいですが。この二人の奇妙な信頼関係も面白いところだな。ちなみにコミック最新刊ではそのなれそめというか、最初のエピソードが登場しているが。

 

 

次話はこちら

anime.ksagi.work

前話はこちら

anime.ksagi.work