白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

後宮の烏 第4話「雲雀公主」

心温まる展開にヒロインの成長物語を添加

 なんか普通に心温まる話を展開しているな。今回は雲雀を成仏させるという話だが、その雲雀の背後には雲雀公主と呼ばれていた不遇の公主の悲しい境遇があったというお話。

   
原作はコミックだと思っていたら小説なんですね

 もっとも彼女自身はかなり冷遇された不遇の扱いだったが、それをあまり嘆いていたようには思えない。むしろ無念を抱えていたのは、彼女の侍女で彼女が亡くなる直前に彼女と諍いを起こして、それを詫びる前に彼女が事故死してしまったことがわだかまりになっていた羊十娘の方。ところで侍女が主人と諍いを起こすって、侍女の側が主人を相当に軽んじているか、それとも両者がよほど親密であるかでないと起こらないことなんですが、この場合はあからさまに後者だったようですね。だから主従の関係を越えて喧嘩のようになってしまったと。

 そして羊十娘の方はそのまま雲雀公主が亡くなったことで、自分は見捨てたのではないか、いやもしかしたら自分が殺してしまったのではとのわだかまりがあったんだが、それを烏妃がそうではないと解決したという話。彼女自身はかなり世間の付き合いに疎いのでぎこちなかったが、「身体が弱かったのなら、この池に落ちたなら助からなかっただろう」という言い方をしたのは、明らかに羊十娘に対して「もしすぐに駆けつけていても助かってはいない」というフォローを彼女なりに入れていたというところ。

 そしてそのような主従の関係を経験したことで、烏妃がギクシャクしてしまった九九との関係についても改めて理解するという彼女の成長物語でもあります。まあ綺麗にまとまっていたようです。

 

 

あの皇帝も複雑な人物ですが、少女漫画の王道イケメンではある

 まあ綺麗にヒロインの成長物語になっていたと思います。それにしても世間から遠いという意味ではかなり遠いはずの皇帝の方が彼女よりも世間の人情の機微を理解しているというのも奇妙なところです。まあ彼の場合は相当に冷遇された挙げ句に、下手すれば殺されかねない立場だったので、ただの王宮育ちのボンボンとは出来が違うようですが。で、良くも悪くも王宮の慣習に捕らわれていないから、どうやらタブーとされていた烏妃との接触にも抵抗がない、というかあからさまに彼女に惹かれている。回りが全員かしづく立場にいる人物が、自分に対等な立場で対応する女性に惹かれたというところがある。また烏妃の小娘と老人が共生しているかのような難解な性格も彼の興味の対象のようです。

 まあ見捨てられたような立場にいる女性の元に、富も権力あって性格も良いというイケメンが突然に現れて・・・というストーリーは少女漫画の王道ではあります。逆パターンの特に取り柄も無くイケメンでもないせいで女性に相手にされていなかったオタが、突然に現れた美少女にモテモテっていう妄想パターンはなろう系なんかの王道なんですが、それって伝統的少女漫画の妄想パターンの裏返しって言えますね。ちなみにこの王道をまさに驀進していたのが「虫かぶり姫」ですが、さすがに驀進しすぎてていて私にツラかったので落ちましたが(というか、男が見ても仕方ない作品だ)。この作品は似たようなパターンでも話にひねりがあるので見れます。

 ところでどうでも良いことではありますが、皇帝の周りにゾロゾロいるイケメン護衛&密偵集団って全員宦官ですよね。ってことは、全員去勢済みってことなんで、普通はああいう男臭いイケメンにはならないんですが(ホルモンの関係で女性化する)・・・ってまあこれはどうでも良い話ではありますが。少女漫画の妄想世界に冷水ぶっかけても仕方ないので(笑)。

 

 

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