白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

金装のヴェルメイユ 第12話「重なり合い」

お約束の「何も解決していない大団円」

 うん、お約束のコテコテ落ちで来ましたね。まさに「未解決で大団円」・・・って、これはEngage Kissの最終話でしたっけ。そのまま体現した作品があれよりも先に来ちまった(笑)。新たな絆が生まれたアルトとヴェルメイに発現する大きな力がアイオライトの攻撃を粉砕する。「ふーん、それなら僕もそろそろ本気を出すよ」という定番の展開のところに邪魔が入って「今日はこのぐらいにしておいてやる」という超お約束展開。敵の正体も目的もイマイチはっきりしないまま、今回の事件は片づけて一応大団円というパターン。

   
原作コミックあり

 ただ言っていたのはヴェルメイが世界を破壊できるだけの力を持っているから、それを僕が使ってあげるということ。ただこれをそのままとれば、彼は世界を破滅させたいだけということでいまいち意味不明。まあ最初から明らかに頭がイッちゃってる厨二なので、彼個人だったらそういう「僕がこの世界を滅ぼしてやるんだ、キャッハー」みたいな愉快犯的自滅願望もあり得るが、一応相手は組織になっていて、彼と同タイプばかりでもないみたいだから単なる破滅願望とは考えにくい。定番としては邪神を召喚して、自分たちに都合の良い世界を再構築するなんてところか。某作品(あの異様に話がもりあがらない作品)では「いくら世界を救ってもまた危機が訪れるんだから、世界を滅ぼしてその輪廻を断つのが救済」なんていうわけの分からんぶっ飛び志向に飛んでいた大馬鹿賢者なんかもいたが。

 

 

まずまず描けているんだが、本当は2クール必要な作品ですよね

 で、ここで終わってしまったら結局は単なる学園ラブコメだったってオチになるんですよね、この作品。まあ最初からそうだったんですって言われればそれまでだけど。要は描いていたのは、自己の潜在能力の割には自信と積極性に欠けていたアルトが、自己研鑽のための強烈なモチベーションを持つに至った成長と、自己の過去の記憶とさらには「自分の正体を受け入れてくれる者、はいないのでは」という不信からやや斜に構えたところがあったヴェルメイが、本当に自分を思ってくれるアルトに出会ったことで自身を真っすぐに見つめなおすというこちらも成長を描いていたってこと。この両者についてはまあ可不足なく描けていたからそれは合格点。すれっからしのビッチ悪魔に翻弄されるショタ主人公って関係性が、遠くを見つめている主人公に本気で惹かれているヒロインって関係性に変化していったところを十分に描けている。

 とは言うものの、ここまでだと話としては完全に序盤ということは否めないわな。実質的にはまだ何も始まっていないし終わってもいない。私がここから仕込むとしたら、アルトとヴェルメイのつながりが強まるにつれて疎外感が強まっていくリリアの心の隙間を突かれての闇落ち、さらに単なるコメディリリーフだと思われていたマルクスに突然に発現する予想外の能力、そしてもしかしたら敵を上回るかもしれない生徒会長の背後に渦巻く思惑などなどといったところ。そんなドラマも含めて一応の決着をつけようと思うと2クールは必要。この作品ってそもそもそういうテンポで作られている作品だ。もっともこの作品に第二期が出るかと言えば・・・うーん、それはないかなというところ。

 

 

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