白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

転生賢者の異世界ライフ 第12話「転生賢者の異世界ライフ」

何ともマヌケな大団円

 大団円です。とにかくいろいろぶっ込んで締めに持ってきました。世界滅亡を目指す賢者の攻撃によって窮地に追い込まれるユージ。一方、魔物の侵攻にさらされていた町では、かつてユージによって救われた冒険者たちが、自らの手で町を守るべく立ち上がる。かつての社畜生活の中で、誰にも頼らずにすべてを自分で解決するということに馴染みすぎていたユージも、ここで「人に頼る」ということを学び、町の防衛は彼らに託し、自身は賢者を倒すことに専念する。今までの話をすべて回収して、主人公の成長をも語る非常に盛り上がる展開・・・となるはずなんだが、それでもサッパリ盛り上がらないというのがこの作品。もう見事というか何と言うか、ハッキリ言ってこの盛上がらなさは最早芸術的とも言える。

   
小説やコミックが出ている模様

 元々この作品は主人公が自らの桁外れの強さを全く自覚していなくて、そのことの回りとの認識をズレを「面白味」として見せる「無自覚系」なんだが、最初からそこの面白味を描いたことはほとんどない。それが登場したのは、私が「初めてまともになったのでは」と言った第5話だけで、それ以降は完全に元の木阿弥。しかも無自覚系をどう取り違えたのか、主人公が無感情系になってしまって、それが主人公への感情移入を阻害しまくり。その上にスライムに魔法転送ばかりのリモート戦闘中心で、しかも戦闘の駆け引きも戦略性も皆無の火球乱れ打ちばかりですべて解決する安直戦闘では盛上がる余地は皆無。

 

 

大馬鹿な敵に単調な戦闘、押しも押されもしない大駄作に

 大ボスの黒幕として登場した賢者も、その目的は「どうせいくら倒してもシンリュウ(神竜?)が復活して再び世界が危機に瀕するんだったら、アホらしいから世界を滅ぼしてしまって因果を断ち切るのが救済」・・・バカですか? もう何をしたいのか完全に意味不明。そこまで飛躍するんだったら、「そんなアホな設定を強いるこの世界の神を叩きのめしてやる」ぐらいのぶっ飛び具合の方が納得がいく。しかもそんな単純な自殺志向の教団に、多くの賛同者が命を懸けてジハード。もうわけ分からん、統一教会に洗脳されて壺に全財産を投入する信者よりも輪をかけて意味不明。余程強い洗脳でも施してるのかと思えばそうでもないようだし。

 そしてその大ボスを倒す方法は、突然に現れた「天撃」なる切り札という安直ぶり。本当に戦略・戦術の欠片もない戦闘は相変わらず。そして以前にドラゴンを倒した時と全く同じ方法で賢者を屠るというバリエーションのなさ。もう盛上がらないことこの上ない戦闘。

 で、一応の大団円の一方で、救済の蒼月はこれで壊滅ではなくて別に本部があって、そこでは大陸を滅ぼす装置が完成間近という「まだまだ第二期のネタはあるんです」って含みを持たせているが、こんな駄作の第二期なんて作る必要はないから、こんなもの出さずに単純に大団円にしとけば良いのに。その方がスッキリする。もし何かの間違いで第二期を作るにしても、こんな話はそれから付け足せば良いんだからここで持ってくる意味は微塵もない。

 というわけで結局は最後の最後までダメダメでした。いくら最終回でまとめ持ってきても、ここまで散々ダメダメだったもののリカバリーは不可能。全く何考えてアニメ作品作ったんだか。まあ本作は今期のフォロー作品の中でダントツの最下位は確定ですね。

 

 

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