白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

Engage Kiss 第9話「流す涙の意味を知らずに」

急転直下のハード展開が涙を誘う

 いよいよ終盤に向けて急転直下の展開を始めだした。悪魔憑きを操っていた黒幕で、三上を殺したのがシュウにとっては養父と言えるマイルズだったというのが前話の「望んでなかった真実」。そして今回はマイルズとの決着になる。

   
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 既に悪魔の力を身につけているマイルズには、予想通りであるがアヤノ率いるAAAの連中も全く歯が立たず、さらには予想通りに脱獄して参戦したビッチシスターことシャロンもまともに相手にならない状況。結局はキサラが戦うしかない状況だが、キサラはマイルズを殺してしまうことに抵抗を感じている(シュウが本音ではマイルズを殺したくはないことが分かっているから)。しかしシュウはマイルズの記憶すべてと引き替えにキサラにマイルズを倒すことを依頼する(まあ予想通りの展開だ)。ただしマイルズの存在はシュウの記憶のかなり根幹の重要部分であるはずだから、いよいよもってシュウの記憶の根本からがスカスカになって人格崩壊の寸前まで行く可能性が高い。もう既にシュウを支えているのは復讐の意志しかない。

 一方のシュウの「謝らないのか」の言葉に全く応えなかったマイルズは、明らかに自分が行ってきたことに対する後悔の意志からシュウに殺されることを願っていたことが分かる。あそこで謝るようなことをしたらシュウの意志が揺らぐことが分かっているから、あくまで極悪非道の悪党としてシュウに裁かれることを願ったのだろう。いよいよシュウに倒されるという最後の最後で「すまんな」と呟いたのがその象徴。しかしその時には既にシュウはその意味が理解できない状態になっていた。にも関わらず本人には理解できないままに流れる涙。うーん、これは泣けるな。この作品で泣かされたのは初めてか。今回は人間ドラマとして各人の葛藤が描けていてなかなかだった。シュウほどに強烈ではなかったはずだが、親ぐるみで交際していたアヤノにもマイルズを倒すことは、葛藤があったはずなんだな。だからシュウの戸惑いも理解できて、最後のシュウの反応に対しては最早かける言葉さえないという重苦しい空気になる。

 

 

そして次回は「待ち望んだ最悪」

 そして実は一番葛藤を抱え込んでしまったのはキサラだろう。マイルズの記憶を吸収することですべての真相を知ってしまったわけだが、その真相は想像以上に強烈なものだった。真の黒幕はシュウの母親だったってことか。ただシュウの妹は自分と人間の血を引く者として必要としたのに対し、シュウは殺しても良いと考えていたということは、シュウが生まれてから妹が生まれるまでの間に母親に取って代わったか取り憑いたかしたということか。で、マイルズを引き込んだのも彼女。アスモデウスと名乗ったようだが、ゾロアスター教の悪魔らしいから、由緒正しいかなり大物の悪魔のようです。何か美女に取り憑いて、彼女の旦那を次々と締め殺したという伝説があるそうなので、ネタはその辺りから持ってきたか。

 恐らく妹は何らかの生け贄にでもされるってところだろうか。もっともその妹自身も悪魔ハーフってことだから、単純に助けるとかいうのは難しそうな気配が。下手すればさらに一番のラスボスは彼女自身って可能性もあり得る。何か最後はすべてを失って放心状態のシュウに寄り添うキサラに、それを遠巻きに悲しそうに眺めるアヤノという超バッドエンドの図が頭に浮かぶんだが・・・この作品が最初に始まった時にはそんなハード展開は全く予想してなかったんだが。それともこの後に超大逆転の大団円を持ってくるのか? しかしどう考えてもそういう展開は無理がありそうだな。

 

 

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