私の本業の方の洒落にならない状態は相変わらずで、時間と精神力がとことん削がれるせいで、毎度毎度の感想を書いている余裕がなくなってしまっている。それでも今期も一応何作かのアニメはフォローしているので、まとめて最終評価だけをアップすることにする。
2025年の春アニメについての作品評価の点数を発表します。なお2クール連続作品の場合は、最終回が含まれるシーズンに最終評価することにしています。また何話かチェックしたが途中脱落した作品などもあります。
評価についてはまず総合評価はA~Dの4段階でAが最上でDが最低となります。各項目は「キャラの魅力」というのはいわゆるキャラ萌えとかいうのではなく、キャラがリアリティや魅力を持ってキチンと描かれているかということ。「ストーリー性」はそのものズバリの盛り上がる興味を持てるストーリー展開となっているか。「納得性」というのは話の設定に無理があったり、ストーリー展開が無茶だったり、演出がひどかったり、そもそも作品が完結しなかったりなど、納得しにくい難点を抱えていないかというものになり、各項目3段階で評価しています。
最強の王様、二度目の人生は何をする?
総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆
壮大なストーリーを感じさせながらも、まだ明らかに話が序盤というイメージで、本筋が全く動きだしていないところが一番の難点か。まあ主人公の成長ものとしてはそれなりには描けているが、やはり転生ものの常として強度のご都合主義はどうしようもないところ。また転生前の「最強の王様」という設定が意外なほどに作品に響いていないのも疑問。「最強の王様」というよりも「冷血な独裁者」としてのニュアンスの方が強い
俺は星間国家の悪徳領主!
総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆
前世でマジメに生きたが故に散々に踏み台にされて不遇の死を遂げた主人公が、異世界に転生して今度は自分の欲のままに悪徳領主として生きてやると決意した・・・のはずだったんだが、実際には主人公の根っこが善人であるためか全く悪徳領主ではないという腰砕けオチ作品。作品展開は転生もののお約束としての超ご都合主義のオンパレードで、何ら新しいところはない。今は環境に恵まれておらずに不遇な君も、環境が変わって良い参謀が付いたら人生大逆転出来る可能性もあるかもと、オタに希望を持たせるのが目的の話だろうか?
完璧すぎてかわいげが無いと婚約破棄された聖女は隣国に売られる
総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆
リストラ系の亜流とも言えるが、基本は聖女としてガチガチの教育を受けたせいで感情の機微に疎かったヒロインが、隣国で周辺の愛情に包まれる中で覚醒して幸せになるというパターンの話。リストラ系の常として、リストラする側の元婚約者の王子があまりに無能な上に性格悪のバカというあり得ないほどひどい設定なのが無理ありすぎ。またストーリー中盤で完全にヒロインの座を妹に奪われてしまうという危うい展開になっていたが、最終的には一応主人公に返り咲いて綺麗にまとめはした。もっともストーリー自体は極めて浅い。
一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる
総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆
一昔前の2時間ドラマなみの設定説明の長いタイトルが最も印象に残る作品だが、そういうところからしていかにもなろう系の王道のリストラ系ストーリー。この手の作品の常として、リストラする側があまりにバカというお約束だが、ざまあ展開についてはあまり長々と引っ張らないのが正解ではある。ただ後は主人公が主役チートのおかげでひたらす無双してモテモテというだけのお約束パターンで、あまりにも独自性がないので1年も経たずに忘れてしまうような作品。
片田舎のおっさん剣聖になる
総合評価 A
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆☆
とりあえず本作については私はコミックも小説も読んでいるので、あまり客観的とは言い難い評価であることを最初に断っておく、なお作品としてのストーリーレベルはコミック>アニメ>小説という感覚を持っている。結構淡々としている小説に対して、大胆にストーリーとキャラを膨らませたコミックが優秀なので、そのままアニメ化していた方が評価は高かったと思うのだが、なぜか小説の淡々とした展開を取り入れている分、ドラマ性が薄くなっている感がある。とは言うものの、キャラはそれなりに立っているし、ストーリーはお約束の範疇ながらも展開に面白いものがあり、最近の十把一絡げアニメの中では出来は良い方。
機動戦士Gundam GQuuuuuuX
総合評価 D
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆
終わってみたら何を描きたかったのかが全く不明な作品。結局はガンダムのキャラを適当に借りてきたパロディ作品にすぎないが、それなら同人誌のファンアートの方がまだ優秀な作品があるだろうというようなお粗末展開。ファーストに対する冒涜云々なんて言うつもりは微塵もないが、そもそも作中で「元の世界」と表現されている世界自体がシャアがララアをかばって死んだパラレルワールドという時点で、パラレルワールドのパラレルワールドを描いたという意味不明の作品になってしまっている。その件を除いたとしても、行動原理が意味不明で行き当たりばったりの行動ばかりのヒロインやその周辺が全くキャラとしての説得力と魅力に欠け、その時点で作品として完全にコケている。制作側の独善ばかりが強いダメ作品の客寄せに、人気のガンダムの設定を引っ張ってきただけというようにしか見えない。
勘違いの工房主 ~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~
総合評価 D
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆
今期の「2時間ドラマ的説明臭いやたらに長いタイトル作品」シリーズ第2弾。こちらもいわゆる典型的な勘違い無双系というお約束パターンなんだが、このタイプの作品につきまとう「主人公の勘違いがあまりに強引すぎて見ていてイラッとする」という度合いがかなり強い。さらにストーリー自体はこのタイプの作品のお約束で、主人公が無自覚の内に事件が勝手にご都合主義的に解決していくというパターンの連続なので、見ていて退屈感がつきまとってしまう。やはり無自覚系においても最後まで主人公が無自覚のまま展開するというのは、ストーリー立てとしてどうしても無理が生じるということを改めて示している作品。
Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。
総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆
リストラ系&主人公ハーレム系というお約束ガチガチの展開だが、2クールまとめたのが幸いしてストーリーがそれなりに盛り上がってはいる。あまりのご都合主義及び強引なハーレム展開といった難点はこの手の作品の常として付きまとっているが、一応はストーリー展開の中に取り込んで何とか成立している。
中途脱落作品
ゴリラの神から加護された令嬢は王立騎士団で可愛がられる 第7話で脱落
序盤は思いがけないゴリラの加護によるスーパーパワーに翻弄されるヒロイン周辺のドタバタが、典型的な「良き少女漫画パターン」で楽しめたのだが、ヒロインの両思いが発覚した頃から、単にリア充カップルがイチャイチャするだけの「悪しき少女漫画パターン」に陥ってしまって見ていられなくなった。
総評
今期は本業がより一層洒落にならない状況になったこともあって、チェック作品自体も少なめ。どうでも良いような暇つぶし十把一絡げアニメの中では「婚約破棄された聖女」が内容的には筋も通っていて一番マシ。また突然に2クールで驚かされた「Aランクパーティー」はお約束ガチガチ&超ご都合主義妄想展開というまさに今時ファンタジーの悪しき王道だが、意外に作品自体はまとまっていたのでギリ合格点。なお昨期からのおっさんシリーズの大トリとも言える「片田舎のおっさん」だが、これは私自身がそもそもこの作品を気に入っているということで明らかに評価は甘め。多分アニメ単独で評価したらせいぜいB~Cレベルの作品だ思う。
D評価作品が2つ出たが、「勘違い工房主」はある意味で順当なD。そもそも評価が上がるべき要素が皆無で、ギリギリ暇つぶしという作品。年間通じてこのタイプの作品は必ず数作あるので、すぐに有象無象に埋もれて個体識別不可になるタイプ。
本来の意味で大コケと言えるのは「ジークアクス」。ガイナが作ったガンダムということで事前の評判は鳴り物入りだったが、蓋を開けてみたらガンダムと言うよりもエヴァンゲリオンの悪しき部分を強烈に濃縮したガンダムパロだったというオチ。実際に最終回でジークアクスがエヴァになってしまったのにはひどすぎて失笑した。私はファースト原理主義者ではない(一番面白かったガンダムはと聞かれて「G」と答えるぐらいだから)が、本作は流石に原作に対するリスペクトが微塵もないのには引っかかった。とにかくファーストのキャラの扱いがひどすぎて、コケにするために引っ張り出しているようにさえ感じたぐらい。私でさえこう感じるのだから、ファースト原理主義者なら怒り心頭ではなどと心配してしまうところ。
2025年冬期アニメ作品評価