2022年の冬アニメについての作品評価の点数を発表します。なお2クール連続作品の場合は、最終回が含まれるシーズンに評価することにします。
評価についてはまず総合評価はA~Dの4段階でAが最上でDが最低となります。
各項目は「キャラの魅力」というのはいわゆるキャラ萌えとかいうのではなく、キャラがリアリティや魅力を持ってキチンと描かれているかということ。「ストーリー性」はそのものズバリの盛り上がる興味を持てるストーリー展開となっているか。「納得性」というのは話の設定に無理があったり、ストーリー展開が無茶だったり、演出がひどかったり、そもそも作品が完結しなかったりなど、納得しにくい難点を抱えていないかというものになり、各項目3段階で評価しています。
なおブログの方では途中脱落で扱いをやめたが、実はその後も作品自体は不定期にチェックしていた(空いた時に暇つぶし的にまとめ見などをしていた)という形で最後まで目を通している作品とか、実は最初から見てはいたんだがブログで扱う気がしなかった(コメントとして書くようなことがない)とか、さらには「途中で脱落必至」と考えて最初から扱わなかったのに、結果として最後までダラダラ見てしまったなんて作品も加えている。
東京24区
総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆
第1話はスピーディーでテンポの良い展開で「これは今期No1か」と期待させたのだが、その後急激にストーリーがスローダウンし、結局は最後までグダグダ展開が続き、ストーリーの核心はすべて怒濤の説明台詞で解決するというどうしようもない話になってしまった。終わってみれば肩透かし度今期No1作品である。
リアデイルの大地にて
総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆☆
ゲーム世界に飛ばされた主人公(難病でどうやら死んだらしい)がその世界で活躍するという物語だが、その設定が全く意味をなしておらず、単に主人公が最初から無双であることの理由付けにしか用いられていない。内容的には無双主人公がファンタジー世界でスローライフするだけという最近の量産パターンの1つ。話に緊張感もドラマ性も何もないのでひたすら退屈なだけの話。
平家物語
総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆☆☆
「平家物語」の語り部の琵琶法師を、平家の興亡を身近な位置で眺めてきた少女という設定にしたのは工夫。普通の人としての平家の面々を描いたことで、その普通の人々が権力に溺れて最後は自滅していく姿を悲しみを込めながらも淡々と描いた。ストーリー制約の多い古典作品原作の枠の中で、ギリギリの範囲内の演出を加えて新しい視点を与えたというアニメ化の意義を感じさせる作品。
ハコヅメ
総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆
いわゆる警察官物語。いかにも今時のあまり物事を深く考えずに「まあ公務員だから良いか」と警察官になったヒロインが、回りのアクの強い面々に揉まれながら、ドタバタな日常の中で徐々に警察官としての自覚を持っていくという超お約束作品。ガチガチのお約束だけにストーリーに破綻はないし、そこに描かれる日常の犯罪風景なんかも意外なほどにリアリティがあり、特別な面白味はあまりないが、人間ドラマとしては面白い。
ドールズフロントライン
総合評価 D
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆
唐突に途中から始まり、唐突に途中で終わってしまう典型的なゲームのプロモ作品。ヒロインたちをアンドロイド設定にしたのは、リアリティがないことを誤魔化すための言い訳かと感じるぐらいに人物設定に無理があってドラマが表層的。話も見えなければヒロインたちの行動原理も見えず、アニメ作品としては魅力なし。
現実主義勇者の王国再建記
総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆☆
話としてはキチンとまとめていて破綻はしていないのであるが、やはり作品自体にドラマ性が低い。主人公が内政中心と言うことで「盛り上がらない異世界ファンタジー」というのは否定できない。しかも内政の話になるにつれて「政治はこう行うべき」という説教臭さが増してくる。所詮ご都合主義の物語で説教されても・・・というのが本音。
怪人開発部の黒井津さん
総合評価 A
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆☆
悪の秘密結社を会社組織として描いたサラリーマン物語テイストのあるパロディが真骨頂。基本的にヒーローもののパロディなんだが、そのヒーローがかなり昭和へのオマージュの要素が強い。ギャグのキレとしてはそう強い方でなく、スベった回も少なからずあるのだが、正直なところ最終回のパワーにピンポイントで当てられてしまって、結果としては評価が一段階アップ。はい、どうせ独断と偏見での採点なので。こんな私をピンポイントでターゲットにしたかのような内容(笑)を持ってこられると抵抗できません。
錆喰いビスコ
総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆
思わず「少年ジャンプ原作?」と思ったようなドタバタバトル展開だったので早々に脱落かと思っていたが、意外に最後まで見てしまった。話の辻褄や社会状況とか細かい点に雑なものを感じさせるが、登場人物たちの行動のパワーですべて吹っ飛ばしてしまったというタイプの作品。
天才王子の赤字国家再生術
総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆
「現実主義勇者」と被りそうなところがあるが、こっちは転生設定なし。またあの作品よりは内容に動きがある。頭が切れるというよりは詐欺師的な主人公のウエインがなかなか面白い。戦略その他は非常にご都合主義なところが多いが、まあ何とか許容範囲内には収めている。もっとも基本的にはオワコン感の強いパターンの作品群の1つ。
86-エイティシックス-
総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆
前期はあまりの設定の無理さが祟って、それが作品自体の足を引っ張った感があったが、今期になってようやく登場人物も社会状況もまともになった感があり、最終的にはそこに巻き込まれて歪んでいた主人公が普通の人間になる過程が描かれた。
賢者の弟子を名乗る賢者
総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆
突然にゲーム世界に取り残された形の主人公が変わり果てた姿のままに無双能力で活躍するという作品で、そもそもの世界設定が何の意味も持っていないという点でも「リアデイル」の双生児作品。もっともあっちよりは話にドラマ性を持たせているのだが、主人公の無双設定のためにすべて不発。やはり無双主人公はストーリー立ての障害にしかならないことを痛感させる作品。
失格紋の最強賢者
総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆☆
昨期に登場の「世界最高の暗殺者」とキャラデその他の面でかなり被るというところから典型的な量産型作品。基本的に無双な主人公がヒロインをワラワラと引き連れてというパターンで、作品にどうしても緊迫感が出ない。最後は無理矢理に山場を持ってきたが、無理くり感が強すぎて盛り上がりにはつながらず、万事が不発だった印象の作品。劣っているとされている失格紋で実は無双という設定が通用しなくなったら、これという魅力が全くなくなった。
殺し愛
総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆
典型的なツンデレタイプヒロインと、すっとぼけた腕利きの殺し屋という組み合わせはなかなか上手いんだが、結局はその二人の過去にどういう関わりがあったのかという説明だけに終始してしまって、ドラマ自体が盛り上がる前に終わってしまった。キャラ描写その他は特に悪くなかったんだが、物語の中途で放り出す形で見事に作品自体は空振りになってしまった。
ヴァニタスの手記
総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆
非常につかみにくいキャラと作品背景のためについていくのに難儀したが、今期はどうにかこうにかそれに説明を付けて、またヴァニタスとノエの関係性をハッキリさせたというところでまずまず何とかまとめたという印象。ぶっ壊れキャラばかりなのが見ていてしんどいのだが、それでもそのキャラなりの行動原理を描けていたのは上手い。
異世界美少女受肉おじさんと
総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆
異世界オッサンズラブというところが特徴だが、その特徴を飛ばしてしまったら量産型異世界ファンタジーの域から一切はみ出していない。主人公二人のドタバタ漫才は微笑ましくも楽しくはあるが、ストーリーの進展が遅いためにいささか苛立つ感もあり。
中途脱落作品
その着せ替え人形は恋をする 1話で脱落
作品としては悪くなさそうだということは感じたのだが、明確に私の好みの範疇からズレているので脱落。
時光代理人 1話で脱落
作品自体が特に悪いわけではないが、もろに私の好みではないのと、中国製のために社会状況や価値観の日本との違いが違和感になってしまった。
擾乱 THE PRICESS OF SNOW AND BLOOD 1話で脱落
特に作品が悪いというわけではないが、オカルティック霊能バトルは私の好みではないので脱落。
薔薇王の葬列 2話で脱落
背後に歴史ドラマが潜んでいそうなので興味を持ったが、いかにも少女漫画的なキツい展開がしんどくなって脱落した。
錆色のアーマ-黎明- 1話で脱落
いきなり不自然極まりない3DCGが昨期の「テスラノート」を連想させた上に、正面から2.5次元を打ち出してきたとなっては私としては興味を持てる点が皆無(と言うか、嫌悪すべき点ばかり)なので早々に脱落。
総評
今期は最終的に評価Aの作品が全くない・・・と書き始めていたのだが、最後の最後で黒井津さんの最終回でやられてしまった。客観的に見たら本当にAやって良い作品かは疑問もあるのですが、基本的に私の好きなタイプの作品で、ああも見事にピンポイントで狙ってきたかのような内容やられると仕方ないです(笑)。
しかし実際のところは、全体を見渡すと今期は低調というのは否定できません。実際に今期は「次回が楽しみで早く見たい」と感じるような作品は皆無だった。せいぜい暇つぶしに目を通すがそこまでという作品がほとんどだった。今期は1話ごとにコメントを書くのがしんどくなって何話かまとめてということが多くなったが、これはワクチン接種で体調を崩したりしたこともあったが、ストーリー進行が遅すぎて書くことがなかったり、モチベーションを保てなかったりということも実は少なくない。
その最大の原因は量産型ファンタジー作品が未だに多すぎるということが一因。今期だけでも完全同一カテゴリーに放り込める作品があったが、これまでのバターンから全くはみ出していない作品が多すぎて、テンプレ通りの作品はせいぜい暇つぶしにしかならない。作り手側も「せいぜい原作の販促ビデオになればよい」程度の考えなのが透けて見えるのが興味を削ぐ。
アニメオリジナルの「東京24区」は特に1話が良かったことから期待したが、その後は話は急激に失速、その上に制作状況も良くないのか突然に再放送が入ったりなどのスケジュール崩壊、そしてストーリーもグダグダという救いのない状態になってしまった。最近はオリジナル作が極端に少ないが、たまに登場してもまとめきれずに失敗のケースが多く、これは作り手のレベルも落ちていることを感じさせる。
結局はローカルヒーローなどを出して、悪の組織という観点から描くという面白い視点を出して来た「黒井津さん」以外は、「平家物語」のような変化球作品や、「ハコヅメ」のような昔ながらの無難な作品しか残らなかったというのが今期の実態。後はすべてパワーで誤魔化しきった感のある「ビスコ」辺りぐらいしか印象に残る作品はない。
2022年春期作品評価
2021年秋期作品評価