白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

2021年秋アニメ作品評価

 2021年の秋アニメについての作品評価の点数を発表します。なお2クール連続作品の場合は、別途「中間時点」での評価を上げ、最終的には最終回が含まれるシーズンに評価することにします。

 評価についてはまず総合評価はA~Dの4段階でAが最上でDが最低となります。
 各項目は「キャラの魅力」というのはいわゆるキャラ萌えとかいうのではなく、キャラがリアリティや魅力を持ってキチンと描かれているかということ。「ストーリー性」はそのものズバリの盛り上がる興味を持てるストーリー展開となっているか。「納得性」というのは話の設定に無理があったり、ストーリー展開が無茶だったり、演出がひどかったり、そもそも作品が完結しなかったりなど、納得しにくい難点を抱えていないかというものになり、各項目3段階で評価しています。

 なおブログの方では途中脱落で扱いをやめたり扱ってはいなかったが、実は作品自体は不定期にチェックしていた(空いた時に暇つぶし的にまとめ見などをしていた)という形で最後まで目を通している作品も加えている。

 

 

無職転生~異世界行ったら本気出す~

総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 前シリーズはまだ話が開始段階と言うことでストーリーの進展がほとんどなかったが、今期になってストーリーが進み出して話が面白くなってきた。また前々から問題だった中の人と表のキャラのギャップも、人生に失敗した主人公が必死でやり直しを図っているという点を前面に強く出すことで違和感は減少した(こちらが慣れたのもあるが)。そして今ひとつ斬り込みが浅くて魅力に乏しかったキャラ描写も、今期にはエリスやルイジェルドなどかなり深めてきた。全体的に「ようやくかみ合ってきたな」というところ。シリーズの続編が期待されるところだが、その辺りはどうなるか。

 

月とライカと吸血姫

総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 吸血姫と言うことで怪奇要素があるのかと思えば、単なるラブコメで吸血姫というのは被差別階級の象徴としての登場だった。ソ連側から描いた宇宙開発史というかなり珍しいスタンスが特徴的。熱血を秘めながらもどことなく冷めたような突き放したようなところのある主人公のキャラが今ひとつつかめないところもあったが、全体としてはまずまずのストーリーとしてまとまった。もっともストーリー自体は基本的にはあり得ないほどの甘々だったが。

 

逆転世界ノ電池少女

総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 美少女をエネルギー源にするロボットで、パイロットはホストというトンデモ設定。ヒロインワラワラの展開に全く期待することなく見ていたのだが、最終的にはオタク文化を高らかに肯定する妙なパワーの作品にまとまった。何だかんだで主人公が自身を見直す展開も入っており、終わってみたら予想外に綺麗にまとめたという印象。

 

takt op.Destiny

総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆

 ゲーム原作としては珍しいぐらいらにキャラが描けているし、ストーリー展開もテンポが良くて面白い。人間として欠けた部分のある主人公と、そもそも人間のことが分かっていないヒロインが互いに対立したり共感しながら成長していく過程がよく描けていた。最終的にはゲーム原作の制約で、話が中途半端になって「後はゲームで」という腰砕けオチになったのがつくづく悔やまれ、ゲーム原作作品の限界も感じさせた。

 

テスラノート

総合評価 D
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 3Dキャラを最大限の手抜きに使ったひどすぎる画面がまず一番引っかかるところだが、ストーリーも話が進むにつれてドンドンひどくなり、最後になるとご都合主義のオンパレードであまりにマヌケすぎてどうしようもなくなってしまった。何よりも登場する工作員が全員ド素人丸出しだったのが問題外。

 

 

Deep Insanity THE LOST CHILD

総合評価 D
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 序盤から主体性皆無の主人公に方向性の見えないストーリーとグダグダの展開だったが、最終的にはリゼロもどきの「死に戻り」ストーリーになるわ、唐突に魔王が出てくるわと支離滅裂、その挙げ句に最後は「ゲームに続く」。もう何を見れば良いのかが不明なひどい作品だった。

 

真の仲間じゃないと勇者パーティーを追い出されたので、辺境でスローライフする 

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆

 そもそも魔王が世界に脅威を与えている時に、それを放り出して辺境で彼女とイチャイチャ生活というのも腑に落ちないが、挙げ句は勇者にも任務を放棄させてしまう「それで本当に良いの?」展開。愚かを極めて自滅する賢者とか、加護と言いつつ呪いにしか思えない唯一神とか、いわゆる普通の勇者伝説ものに対するパロディと感じられなくもないが、実際にはそこまで深い意図は読み取れなかった。

 

SCARLET NEXUS

総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆☆

 2クールもかけた割にはグダグダしているだけでなかなかストーリーが進行した印象がなかったのは、主体性完全不在の主人公のせいが大きい。終盤になるにつれてストーリーのつじつま合わせが破綻して、ドンドンと登場人物のことごとくがマヌケ化していく展開は目を覆うばかり。その挙げ句に超ご都合主義の大団円。相当にお粗末な作品だった。唯一評価できるとしたら、ゲーム原作でありながら「続きはゲームで」にならなかったことぐらい。

 

世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆

 異世界ものにするには転生設定は必需でしょとばかりに無理矢理付け加えた感があって、そもそも転生設定の必要性が薄い。内容的には無双主人公が、複数ヒロインを侍らせてハーレムするだけの作品という域から結果的にははみ出していない。

 

サクガン

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 最初は親娘の情愛を絡めた冒険ものとして順調にスタートを切り、展開などもテンポ良かったのだが、中盤辺りからストーリーがグダグダして方向性を見失い、その挙げ句に最終的にはすべてをおっぽり出して中断した印象。続編のアナウンスが正式に出ていない以上打ち切りと考えると、あまりに無責任にすぎる結果であった。

 

 

白い砂のアクアトープ

総合評価 A
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆☆☆

 第二クールへの突入が蛇足になることが一番懸念されたのだが、その懸念を払拭してヒロイン達のさらなる成長物語を描くと共に、周辺のキャラも含めてキャラを実に上手く描ききった。特に奇をてらわずに正攻法で真っ正面からキャラを描いた作品であったが、その正攻法の作りが最終的には成功につながっている。

 

最果てのパラディン

総合評価 A
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆☆

 いわゆる転生ものの中では地味作で、さらに主人公の転生設定の不要さは「暗殺者」以上。ただ正攻法ファンタジーとして、真剣に生きていく主人公の姿を正面から描ききったのは評価できる。ストーリーとしては奇をてらったところは全くないが、それだけにあまり無理もない。なお続編制作とのことであるが、問題はそれでも基本的に作品が完結はしないだろうこと。

 

海賊王女

総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆☆ 納得性☆

 最終的なオチがあまりに唐突すぎて、それが最終評価を落とすことにつながってしまった。ただそれまではいわゆる少々古典的な冒険活劇としてなかなかに楽しめるし、キャラについてもよく描けている。ただすべての伏線を活かせたとは言いきれず、やや強引な展開をしたところが惜しまれる。もう少し基本ストーリーを練って2クール作品として制作していたら、かなりの名作になれた可能性はある。

 

闘神機ジーズフレーム

総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆

 美少女キャラが巨大メカに乗って侵略的宇宙生物と戦うという一昔前のタイプの作品だと感じていたら、日中合作か? ストーリー展開はまさにお約束なんだが、あまりに感情的に動きすぎてバカにしか見えないヒロインが魅力に乏しい。あまりにパターンに過ぎる上にご都合主義の強い内容のため、印象に残る点が皆無。

 

シキザクラ

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 やけに簡便に見える作画が気になるところだが、まあそれは特別に大きな問題ではない。ストーリー自体は「BLUE SEED」を連想させるような古いタイプだが、主人公が決してヒーローではない(ヒーローになりたいと思っているのがヒーローでない証拠)というのは今日的。ありきたりだが破綻はない。

 

途中作品評価

86-エイティシックス-

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆

 世界設定の無理さは相変わらずだが、「絶滅収容所のユダヤ人に武器を渡してナチスのために戦えと言っても戦うはずがない」という根本的矛盾は、主人公達の陣営が変わることで薄らいだ。また完全にぶっ壊れている主人公のキャラが「壊れている」と認識されたことも大きい。一応ストーリーの方も方向性が見えてきて作品自体のまとまりは良くなっている。

 

中途脱落作品

MUTEKING THE Dancing HERO

 音楽がダサすぎてノリが悪くてダメ。昭和臭濃厚な前作に比べてもファッション性が低下していた。

 

 

総評

 2021年秋アニメは中途脱落作品が少なかったために作品数が増えたのが特徴。もっともそれは私の思い切りが悪くなっただけで、「ディープインサニティ」とか「テスラノート」は早々に切るべき作品だった。

 今期は「海賊王女」「サクガン」「takt op.Destiny」の3作に期待したのだが、いずれも最後でコケて最終評価を落としてしまったのが残念。一番最後まで見通して作品を作っていなかったのかと文句を言いたくなるし、所詮はゲームのプロモになるんだったら、ゲーム原作作品は最初から「これはゲームのプロモです」と銘打っておけと言いたくなる。

 結局は最高評価は昨期から続きの「アクアトープ」。地味な奇をてらったところのない作品だが、その正攻法な作りが正解。こういう意味での「真のキャラアニメ」というのも最近は少ない。とにかくリアリティのないキャラばかりがドタバタ走り回るだけの作品が増えているのも昨今の実情。多分にクリエイター自身が人間を知らないという点が反映していると感じられる。

 その中で最終的に地味作が化けたのが「最果てのパラディン」。地味なファンタジーを堅実に描いていたら意外と良くなった。また期待度皆無のところから意外に伸びてきたのが「電池少女」。ご都合主義の無理くり展開をパワーで誤魔化しきったというところ。なおもう「なろう系転生もの」はオワコン感が半端ない。

 

2022年冬期作品評価

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2021年夏期作品評価

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