白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

現実主義勇者の王国再建記 第21話「蝦で鯛を釣ろうとしたら鮫が掛かった」

強かな押しかけ嫁

 さて押しかけ嫁でやってきたロロアですが、やっぱり交渉材料は「うちがいたらアミドニア併合の大義名分になるやろ」でしたか。お約束ですね。それにしてああいう経済感覚が強くてしっかりした少女はなぜか関西弁使いというコテコテのお約束はどうにかしてもらえませんかね。正直ああいうキャラが出る度に「ああ、またか」と嫌になるんですわ。関西人としては(私は大阪人でなくて神戸人だけど)、明らかに東京人が関西人を馬鹿にしている空気が感じられて不快なんですが。

  
Blu-rayも出るようで

 要は彼女はソーマに大義名分を与えるだけでなく、アミドニアをソーマに押し付ける代わりに、自分が独自に稼いで経済面は面倒見ようということ。しっかり提案を持ってくるところは確かに商人です。ソーマの陣営って、武人は優秀なのが多数いるし、政務の方はハクヤがいるし、財務も今回人材を確保しましたが、経済官僚という意味でそちらに長けている人材は確かにいまいないんです。ソーマがそういう点で「この才は欲しい」と考えるのは当然のこと。この世界でテレビCMを思いつくってだけでも、かなり先見性があります。

 もっともその場合に問題になるのは将来の王位継承問題。それが分かっているから、さっさと自分は王位なんて興味がないと自身の子供を後継者から下ろしてしまうのが賢明なところです。やはりリーシアとしては個人的な嫉妬云々抜きにして、ソーマの後継者は自分の子供であることは立場上絶対譲れない条件でしょうから。そこのところを了解している賢さ。将来的にリーシアの息子が王太子として立ち、ハーフエルフになるアイーシャの子は長寿だろうから王国の宿老として脇から支える。この体制が一番安定するか。兄弟で王位争いになるのがもっともマズいので、王太子をハッキリとさせて、他の兄弟は兄弟愛でそれを支えるという関係性を築けるかがポイントだろうな。もっとも現実の場合って、こういう状況でソーマとリーシアの間に王子が全く生まれなくて、その結果として王太子にロロアの息子が立ってお家争いの種になるなんてことが多いのだが。後、リーシアに息子は出来たものの、それが誰もが認める絵に描いたような無能だったとか。

 

 

外交問題も山積みの模様

 で、アミドニアを併合するにしても、やはり問題となるのは帝国との関係。と言うことで聖女様との直接対話でそれを解決することにしたようです。まあそれが一番手っ取り早いでしょう。ここでソーマが出して来た寓話って、言うまでもなく東西冷戦の話ですね。そして実際に民族自決の原則がここに来て問題になってきているという事実。ロシアや中国などの多民族国家がこれで戦々恐々になっており、ウクライナ戦争なんてまさにそれが原因そのもの。この民族自決の原則も難しいもので、これを徹底すれば細切れのような国家が成立してしまって国家の機能を果たさなくなるんですよね。ユーゴスラビアなんて、どうにかこうにか他民族をまとめていたカリスマであるチトーが亡くなった途端に、求心力が無くなってモザイク状に民族が分裂、その挙げ句に民族対立で戦争という救いがたい状態になりましたから。で、この矛盾を指摘したことで聖女様はあっさりと納得しましたが、論理展開的には「それとこれとは話が違うのでは」という気がしないでもなかった。

 さらに宗教勢力の問題まで。これは非常にタチが悪い。人間を救うことを目的にしていると言いつつ、人間を理性を失った狂人にするのも、どうしようもなく残虐にするのも宗教ですから。特にその組織に己の欲を追求する奴が座れば危険極まりない。まさに中世の教会が猛威を振るった暗黒時代が来かねない。宗教はとにかく始末に負えんから。

 

 

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