魔族を指先一つでダウンの無双のマティアス
襲撃してきた魔族を一網打尽にして、マティアスは仲間と共に旅に出ると。まあこうなるのはお約束だった展開だが・・・。ストーリー作成的には本来は無双すぎる主人公ってのはそもそもストリーブレイカーなんだが、そろそろその悪影響が出てきた。
魔族が襲撃しようと何しようと、無双の主人公様が一掃してしまうのが確実なのでストーリー的盛り上がりに欠けるんですよね。全く苦戦の余地さえなく指先一つでダウンのレベル。うまく見せればその無双さが爽快感になるんだが(例の不適合魔王様はその辺りの展開が上手かった)、この作品の場合は魔族が悪として登場するんだが、それが特に悪事をすると言うでもなく、何をするまでもないままに存在そのものが悪として無双の主人公様に一掃されてしまうので、むしろ主人公が一方的に虐殺重ねているように見えて、今ひとつ爽快感に欠けるんですよね。
それに「どうせルリイとアルマが苦戦になっても、無双のマティアス様が登場したらちゃっちゃと敵を一掃でしょ」となるので、そういう点での盛り上がりがない。強い相手をどういう策略で倒すかという戦略要素が皆無なんですよね。ひたすら弱い敵を真っ正面から蹂躙するだけで。一応マティアスはまだ能力が本来レベルでないから、工夫して戦っているということになっているが、どう見ても余裕綽々に真っ正面から粉砕してますから。
それにしても校長も国王も善良すぎる方のようで
とりあえず魔族の襲撃は無双のマティアス様がザクッと一掃。後は細かい魔物が現れたところで第二学園で無詠唱魔法を身につけた生徒達がいれば対応可能。と言うわけで使命を終えたと考えたマティアスは旅へ。あのゴツい校長は特待生として席を残してやると言っているから、校長のコネを通して国王の協力を得ることも可能。まあ何とも都合の良い境遇を獲得したものです。で、マティアス組ことルリイとアルマも同待遇と。それにしても、この校長にしても国王にしてもやけに善良なんですよね。これが日本だったら、校長は「自分の体面が」とか言ってマティアスの足を引っ張ろうとするし、国王は「マティアスに国が乗っ取られる」と密かに葬ろうとするなんてことにななりかねん。少なくとも「マティアスは実は魔族の一員だ」とかのデマを流して評判を落とそうぐらいはするだろうな。NHK辺りがどこかのオッサンを出演させて「実はマティアスさんが魔族と取引をしていた」と字幕を入れるとか・・・。そういうドロドロしたところがないのも、まあファンタジーですな。
というわけで作品世界全体があまりにひねりがなくて脳天気なんだよな。そりゃリアデイルとかよりはまだマシだが、本質的にはレベルはさして変わらない。もう転生無双主人公ってバターンは特にオワコン感が強いな。そもそも転生もの自体がオワコン感半端ないんだが、その中でもさらにオワコン感が強い。それにしてもいつ頃から、こんなにファンタジー世界ってワンパターンになっちまったんだろう。
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