魔族の思惑も越えて勝手に動き出したルーティ
レッドはリットと辺境で新婚夫婦よろしくイチャイチャしてるんだが、世界の方がそれを放っておいていない。どうも魔族の陰謀らしきものがこの辺境まで及んできたし、勇者パーティーの方は順調に崩壊中。
レッドは「俺のウハウハ生活を破壊する奴は許さん」とばかりに降りかかってくる火の粉だけは払いますが、表に出ている事件はそれで解決しても、裏の深いところで進行してる陰謀は続行中のようです。
なんか例の麻薬を魔族は勇者を弱体化させるために使用しようとしているのではという様子ですが、当のルーティは勇者の加護のせいで日に日に人間としてぶっ壊れていっている自分を取り戻すための薬と考えた模様。勇者の加護とやらのせいで明らかに希薄になっていた人間性が、あの薬を飲んだら少しは表に出るようになった気配がある。それでも異常に非常識な奴だが、多分今まではレッドがさり気にフォローしてたんだろうというのが想像できる。
そしてこの薬は自分に必要だと判断したルーティは世界の命運も、パーティの仲間も放り出して薬確保のために動く。何の役にも立たないどころか完全に足手まといになっていたバカ賢者はあっさりと見捨てられました。同行しいたクルセイダーは「そりゃ私もこいつも不要だわな」と完全に悟っているような様子でしたが。こうなったらあのクルセイダーもバカ賢者と同行する理由がないので、パーティーは完全に崩壊するんじゃないですか。
そして新婚家庭に小姑が押しかけてきた
で、薬を求めて辺境までやって来たルーティは、思いがけずにレッドと再会することに。レッドにしたら「えっ?!」ってところですが。あの同行していたアサシン、一目見ただけで明らかにレッドの方がバカ賢者よりも数倍有能でルーティにとって不可欠の人物というところまで見抜いていると思う。
それにしてもレッドにしたら「勇者パーティーを追い出されたので、辺境でグラマー美人とウハウハ生活してたら、妹が押しかけてきてしまった」の状態ですね。まだリットが出てきてませんが、リットにしたら「辺境で素敵な彼氏とウハウハ新婚生活してたのに、小姑が押しかけてきた」状態でしょう。ルーティはルーティで勇者生活に本音では嫌気がさしてきている様子だから「勇者だと言われたが、嫌気がさしてきたので、辺境の兄貴のところに押しかけてスローライフしたい」って雰囲気もなきにしもあらず。で、一人放置されて「自分が目立ちたいから勇者パーティーの影ボスに難癖つけて追い出したら、呆気なくパーティーが消滅してしまった」という状態になっているバカが一人。
やっぱりこの世界の加護って実は呪いなのでは
それにしてもこの世界の唯一神の加護とやらは、加護なんてありがたいものでなくて、どう考えても呪いに近いな。それを見ていたら、この世界の唯一神って本当に神なのかって感じがする。となってくると、魔族の存在も魔族と言うだけで邪悪な排除すべきものという扱いだが、実際のところは何を考えてどういう原理で動いている連中なのかってことも重要だな。場合によっては人類が魔族と共闘して唯一神を排除した方が良い世の中になる可能性まである。
まあ実は神なんてのも相対的なものであり、キリスト教なんかは自分達の信仰以外の神はすべて悪魔にしてしまったからな。だから悪魔ってのは実は別の信仰の神という場合が実に多い。よく悪魔教徒ってのが邪悪な存在として登場するが、その実態はなんてことない異教徒ってだけ。むしろ神の意志に従っていると自称している奴の方が、十字軍なんかのように野蛮で暴力的ってのも歴史ではよくあった話。この辺りが一神教の邪悪さ。その点多神教は他の宗派も取り込んで分派扱いにしてしまうから、もっと柔軟性があるんだが。と言うわけで私は、ヨーロッパが排他的なキリスト教に支配されず、ギリシア・ローマの多神教が続いていたらもっとマシな世の中になっていたのではという考え。話が本筋から大きくそれたが、まあ元々与太話なので許してください。
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