白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

86-エイティシックス- 第10話「ありがとう」

今まで突然に空気の変わった前半

 前回ラストでレーナの管制圏から脱して、彼女前から消え去った86の面々ですが、半月経過後もドッコイ生きていたようです。前半はそんな彼らの状況を描く。

     
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 いつものこの作品とは違和感全開の楽園的雰囲気から始まるので面食らいますが、この作品では初めて彼らが普通の少年少女として生きている状況の紹介です。こういう描写はいずれ必然的にやって来るはずの彼らの死との落差を作るためのものであります。

 レギオンの偵察の合間を縫って川のところまでやって来た彼らはそこで足止めの模様。ジャガーノートは隙間だらけなので渡河性能はないようです。つくづく性能の低い兵器だな。やっぱりレギオンを殲滅することよりも86を殲滅することの方が目的だな。

メカニックデザインは面白いが、性能は動く棺桶

 で、彼らは偵察で帝国の町の中にやって来る。そこはゴーストタウンとなっているが、明らかに人が生きていた痕跡が。すべてを放り出して全員が逃亡したか殺されたか。人骨がゴロゴロという状況でなかったことから、逃げ出したんでしょう。もっとも住民のその後は不明ですが。

 動物の骨ばかりが転がっていた動物園が象徴的場面として扱われています。結局はシンはそこで動けなくなったレギオンに入っていた86の声を聞き、彼を安楽死させた模様です。こういうのが非常に殺伐とした作品であることを示している。

 

一転しての後半は彼らの全滅を暗示か?

 そして後半は一転して、随行していたAIが自らの記憶を呼び戻すような形で、今までの86の連中の様子を断片的に伝えていく。そこには既に戦死した連中がゾロゾロと出て来ています。その辺りが状況の過酷さを伝えるという形。そして最後は既に動けなくなっている模様の彼のメカが破壊されて終わり、何やら流れている油か何かがまるで涙のように見えるようにしてるのは確か。それにしてもこのレベルのAIの開発までは出来ていたのに、無人兵器の運用は出来なかったのか? 何かあちこちに設定に細かい矛盾がある世界観なんだよな、この作品。世界観の矛盾だけでなく、登場人物の動機付けの矛盾が一番ひどいが。作品の戦闘描写その他などは悪くないだけに、根幹部分のそういう「雑さ」がすごく残念なんだな。なおこのラストの描写は彼らが全滅した可能性を示唆していたが、実際のところどうなんだろう? レギオンがやってこない安全地帯の話が出ていたが、そこにたどり着いて目出度し目出度しなんて甘い作品ではないだろうから。まあ作品がこの後も続いていることを考えると、シンだけは生き延びるって展開が一番ありそうだが。

     
原作は現在も続行中の模様

 で、次回は「その頃、レーナは」って話になるのか。86の面々が長閑にピクニックしている間に、何かレギオンの総攻撃を受けて共和国が大変なことになってそうな雰囲気があったんだが。まあありきたりの作品だったら、それを察知してシンが共和国に引き返し、大乱戦の最中にレーナを命がけで救い出すって展開になるところだが、そういう甘々作品ではなさそうだし。

 

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