白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

86-エイティシックス- 第11話「行くよ」

営業上の理由で予想の付いたエンドではある

 ああ、やっぱりこうなっちまったかというようなラストだな。結局のところ原作がまだ続いている状況下でのアニメ化なので、ストーリーの決着が付くはずもなく、そうなるとこういう中途半端な結論にならざるを得ない。

     
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 前半はシン達一行のその後の話で、予定よりも生き延びた彼らも結局は最終的には全滅(原作が続いているところからみて、恐らくシンだけは生き延びるんだろうけど)という結果にならざるを得ない。その過程を淡々と描き、後半はレーナが彼らの駐屯地を訪れて彼らのことを悼むというだけの内容。ストーリーとしては結局何も解決しないし、何も始まらないという内容。

 ただこう締めてしまったら、結局のところ単に86の面々が理不尽に殺されるだけの話になっちまうんだよな。もろに登場している社会的矛盾なんかが解決する可能性なんて最初からなかったですが(そもそもストーリーの根幹に無理があるんだからどうしようもないように感じる)、見事なまでにおっ放ってしまった。

 要はその理不尽な環境の中で86の面々がどのように生きてどのように死んでいくか、そしてそれに立ち会うことになったレーナがどのように感じ、どう行動するかって話なんだが、すべては中途半端。結局は「だから何だったんだこの作品?」と言わざるを得ない結果になってしまう。

 

結局は単なる原作のプロモーションアニメってことになってしまう

 そこは「アニメ単品で評価せずに原作も含めて評価しろ」って話になるんだろうが、つまりはそういう作り方自体が最初から感心しないんだよな。だから私は最近の原作付きアニメには非常に否定的になる。要は最初からアニメ単品で成立することなんて考えず、原作の小説なとコミックなとゲームなとの販促のための単なるプロモーションビデオとして作ってあり、それはあまりにアニメファンを馬鹿にした話。

 社会システムの根本的な設定のおかしさはどうしようもなかったが、単品としての86の面々の日常描写やレーナの葛藤とかその辺りの表現は悪くはなかったので、結果としてそういう要素とは全く関係の無い理由で作品自体が大コケってのが残念極まりないんだよな。だけど原作のファンとかから反発食らうの覚悟で、アニメについて評価すると駄作と結論つけざるを得ないんだよな。アニメ作品としてみると、結局は何もないわけだから。作品の根本のところで失敗してしまっていることになるから。しかしどうなんだろうね。最初からアニメとしては駄作になるのが確定で作るのは。

 私ならどうしたかな? 多分、「好評ならあわよくば第二期も制作」とか「原作の販促になればそれでOK」とかなんて大人の事情は完全に捨てて、さらには原作ファンからの「原作と全然違う」という猛烈な批判も覚悟した上でのオリジナル展開をするってとこか。シン達が敵の本拠に突っ込んで危機一髪になったところに、強引に結成したレーナ率いる一団が参戦して協力して敵の本拠を叩きつぶすというエンドをつけて作品を完結させただろうな。で、営業的な意図も原作ファンの「とりあえず原作キャラが格好良く動いて喋ってくれたらそれだけでいい」という考えも無視した私は袋叩きになるという結果に。そして二度と仕事が来なくなるというオチか。

 

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