白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

86-エイティシックス- 第7話「わすれないでいてくれますか?」

明かされた86の真実・・・だが

 さてと、この世界の真実が86の面々からヒロインに語られました。彼らは5年で除隊になって市民権を得られることに表向きはなってますが、実際はその前に戦死するようにさせられていると。それであえて全滅させるための作戦に投入すると。

     
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 まあ彼女に命じられた作戦が、彼女自身が無謀と思っていたことから殺すための作戦だったことは明らかなんですが。にしても戦力の使い捨てと言ってもこれは普通はないわな。86を使い捨てにするのはともかく、それで彼らが全滅した後のことは考えているのか? ああ、そうか、中央は2年さえ持たせたらどうにかなると思ってるから、その間に86は効率よく皆殺しにするってことか。しかし86の面々でさえ、敵は2年で停止しないってことが分かってるのに、そのことを中央は把握してないのか? それとも把握した上で現実逃避でもしてるのか? だとしたら菅内閣もビックリの無能っぷりなんだが。

 

いよいよもって彼らが戦う理由が意味不明

 で、86の連中も自分達が全滅させられるために投入されることが分かっていながら、プライドで戦ってるって・・・。うーん、これはないわ。いくら何でも人間としてあり得ない。神風特攻隊に動員された連中でさえ、自分達の犠牲が親兄弟を守ることになると信じさせられて(実際はごく一部の上層部の保身と利権の維持のためだったんだが)命を捨ててたんだが、この連中にはそれさえないから。いずれは一族含めて皆殺しなのは分かっている。この状態でクズになりたくないからプライドで白豚守るために命捨てるって。ないない。大日本帝国なみの思想統制や洗脳教育をされたらしき様子もないし。

   
プラモデルの類いも出ているようですね

 これは絶滅収容所に送られたユダヤ人に武器を渡して「これでお前らはドイツを守るために連合国と戦え」と言うみたいなもの。しかも彼らはたとえ戦っても皆ガス室送りになることを分かっていると。それで彼らが「祖国ドイツを守るため」と命賭けて戦うかと考えれば不自然さに気づく。結局はこの作品に最初から感じていた「何かあまりに不自然な世界観だよな」というのがもろに出て来てしまった。つまりはやっぱり彼らが命を懸けて戦うべきモチベーションが何もないことになる。地獄の「エリア88」でさえ、莫大な報酬というモチベーションがあったし、それがあったからこそ成立していた世界だった。状況に流されるだけで命がけでは戦えるものではない。

 

さらには壁の中の連中の動きも不自然

 86の連中の考え方も分からないが、壁の中にいる連中の考え方も分からないんだな。やばそうな現実が見えているのに、2年でどうにかなるはずという希望的観測にだけすがってひたすら現実逃避しているのか? どうせもし2年でダメだったらその後は手がないから今のうちを最大限享楽的に生きようってところなのか? いやいや、普通はあそこまで無茶苦茶な体制を敷くような権力機構は、他の連中を全て犠牲にしてでも、自分達だけでもどうにか逃げ延びられる手を打つもの。しかし見ているとこのままだと86が全滅したところで敵の全面攻撃で壁の中の連中もほぼ全滅ってシナリオが見えてるんだが、それに対してどうしようという動きが全く見えない。そろそろ軍の上層部が突然に揃ってどこかに「外遊」するとかって動きがあっても良さそうだが。もしくは自分達だけが密かに息を潜めて生き延びるためのシェルターでも用意しているとか。

 

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