白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

Vivy-Fluorite Eye's Song- 第9話

未来からの介入か?

 ディーヴァの前に現れるテロリスト・ユウゴ。明らかに生きていた場合の実年齢と見かけが違いすぎるのだが、やはり自身がAIになった模様。彼自身が子供の頃に「先生」と慕うAIがいて、その先生が自分と事故に遭った際に、人命救助を優先して救助した彼を放置したまま爆発に巻き込まれて破壊されたということでAIに対しての疑問を感じたのか。しかしこれって、AIでなくても親父とかが「今は事故に遭った人を助けないと」と現場に戻って爆死するなんてパターンもありそうで、ことさらにAIに限ったシチュエーションではないと思うが。ある意味、AIが実に「人間らしい」振る舞いをしたので、そこでAIに疑問を持ったと言うことか。

     
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 それにしても彼は「天啓を得た」という類いの事を言っていたが、マツモトでは対処が出来ないプログラムを有していたということは、マツモトが送り込まれたよりも先の時代が干渉したということになる。となると何やらストーリーが「ターミネイター」めいてきた。マツモトはこれまで「未来のAIプログラム」という技術的優位性でシンギュラリティ計画を実行してきたのだが、時代が下ってきてその優位性がなくなってきている上に、さらに未来から介入してきた者がいるとなったら、完全に立場が変化してしまうことになる。

 

技術進歩の面では、かなり矛盾のある世界になってしまってますが

 技術的なことと言えば違和感を感じるのは、AI技術は進歩しているのだが、ハードの方が進歩しているように感じられないこと。何だかんだでディーヴァなんて60年以上前のロートル機体ですからね。いくら未来AIのマツモトが介入したところで、ハード面での技術的遅れはどうにもならないと思うのですが。謂わばトランジスタ誕生初期のIBMの大型コンピュータが、現在の富岳とかに対抗しようとしているようなものですから。AI技術自身もディーヴァが登場した時点から根本的に大きく進化しているようでもないし。そうして考えると、技術進歩が急激なようで、実際は異常に進化スピードの遅い世界なんですよね。

     
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 これって、現代や近未来を舞台にする作品のジレンマです。舞台が平安時代とかだと100年ぐらい経ったところで社会はほとんど変わってないけど、現代や近未来だと全く別の社会になってますからね。だから鉄腕アトムの電子頭脳が今のパソコン以下だとか、エヴァンゲリオンにDATが登場したりなんてことになる。いくらレストアしたところで、ゼロ戦でF15に勝利するなんて無理。

 

アントニオは愛を知ったのか?

 結局は未熟なオフィーリアでは使命を果たすことが出来ないと考えたアントニオが、5年前からオフィーリアに取って代わっていたということか。アントニオはオフィーリアの「みんなを歌で幸せにする」という使命を果たすことを目的にしているはずだったが、その裏に「本当は自分だけのために歌って欲しかった」と考えを秘めていた。この理不尽な独占欲って、もろに恋愛感情そのもの。結局はオフィーリアよりも先にアントニオの方が恋愛感情に目覚めていたということか。だからこそアントニオが取って代わったオフィーリアの歌はディーヴァが驚くほどにすごかったと。

 結果としてはアントニオによる無理心中みたいな決着になってしまった。しかしサポートAIである彼が、サポートの範囲を超えてオフィーリアに愛情を持ってしまっているのって、いよいよもってAIが人間との境界をなくしているという象徴的な話なのだが。なおマツモト自身も程度の差こそあれ、それに近しい不合理な感情を持ち始めているのであるが、本人はそれに気づいているかどうか。

 で、最後は前向きなディーヴァの人格は消去されてしまったので、ヒッキーになっていたヴィヴィが表に出てくるということになるわけですか。また陰々滅々とした雰囲気になりそうな気がするな。

 

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