白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

憂国のモリアーティ 第18話「ロンドンの証人」

「ヴェニスの商人」の逆手を突くエピソード

 今回はチャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンがモリアーティを調査した結果浮上してきた過去の記録という形で、ウィリアムの子供の頃の裁判の話が出て来ます。

     
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 孤児院の院長をダマしたインチキ貴族のバクスターをとっちめるという痛快物語ですが、かの有名なシェイクスピアの「ヴェニスの商人」のエピソードを逆手に取ってのひねった話です。あの話では強欲な高利貸しのシャイロックは「血を一滴も流してはいけない」という条件で敗北するのですが、これを逆手にとって勝利するという痛快エピソード。

 にしても、バクスターが自身が肉を注文する時にはその中には血も含んでいる話に持っていき、そこからバクスターの肉に対する認識からいけば、当然そこに血も含んでいると持っていく論理構成って、法学的には通用する解釈なんですかね。まあそもそも現代法学では借金のかたが身体の肉1ポンドって契約自体が無効ですがね。

 

クズ貴族に見事に鉄槌を食らわす

 バクスターは財産を他人の名義にすることによって自身は何の財産もないという「無敵の人」になって裁判沙汰でもことごとく「支払能力なし」ということで踏み倒していたようです。今まであの契約書でずっとやって来たということは、シェイクスピアなんて読んだことがないはずの庶民クラスを相手にずっと詐欺を働いてきたってことですかね。相手がシェイクスピアを読んでいたら、元ネタが明確ですから、裁判沙汰になった時にどうやって言い抜けするつもりかはバレバレですからね。ですからそんな契約をするわけがない。確かに救いようのないクズですな。ウィリアムがまだガキだから身ぐるみ剥がれるだけで済んだが、もう少し後なら完全に始末されてたな。

     
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 必殺の覚悟を持って近づいてきたウィリアムにバクスターは完全にビビってしまってギブアップしますが、あそこでバクスターがギブアップしなかった場合にはウィリアムはどうしてたんでしょうか? ウィリアム自身は殺人なんて何とも考えていないようですが、さすがにあの場でスプラッタは出来ないでしょう。結局は判事も呑まれて全く動けてなかったですが、普通はあそこでバクスターが屈しなかったら、判事辺りが何かの仲介案を出すってオチになった気が。せいぜいが分割払いで返却するとか辺りか。そうなったら完全に空振りになっていた気もする。

 

ウィリアムの凄さを見事に描いてます

 とりあえずウィリアムが昔からただのガキではなかったということを示すエピソードとなってます。まあウィリアムがただ者でなかったのは、アルバートと出会った時のエピソードでも明確でしたが。まああの時のエピソードは確かにウィリアムの凄さは伝わってきたが、実際はそれ以上に、一見穏やかに見えてついには家族までも冷酷に皆殺しにするというアルバートの秘めたる狂気の方がすごかったが。

 そして最後は実はこの記録自体がモリアーティ一行が敵の正体を突き止めるために仕掛けたブラフだったというオチか。これで彼らは敵がチャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンであるということを認識した。いよいよ次回から両者の直接対決になるわけか。なかなかに盛り上がるが、ホームズはどこに行った?(笑)

 

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