白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

86-エイティシックス- 第2話「スピアヘッド」

やっと世界観が分かりました

 ようやくこの世界の世界観が「講義」という形で説明されましたね。つまりは帝国なる存在の無人兵器が暴走、恐らく帝国はそれで滅亡したと推測される(連絡が付かなくなるとかが起こったんですかね?)。そして暴走している兵器の稼働限界が後2年。ヒロイン達の国は後2年の間、無人兵器の侵攻を食い止めれば終戦になるわけだが、最初の戦いで大敗北してしまった。そこで戦況を打開するために、一部の選ばれた連中だけを保護するべき市民として、残りの連中は人権を奪って戦闘兵器に乗り込むための消耗品として扱うことにしたと。その挙げ句にそれを正当化するために、あの連中は進化の失敗作であり、人間ではなくて豚と同じようなものだと嘘八百のプロパガンダで洗脳したというところか。

     
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相当に歪んだ無理のある体制のようです

 何やら誰かさんが目指している「美しい国」みたいな体制だな。ごく一部の選ばれた国民のために多くの国民を犠牲にする体制が完成したわけか。で、ヒロインはその体制に疑問を感じており、新卒連中に真実を明かすという荒技を行ったのだが、完全に体制に染まっている若者たちには全く届かなかったようです。まあ彼女のように、消耗品扱いされている連中に対しての共感のようなものを持っている者は異端のようですから。

 他の連中は薄々真実は知っていたとしても「あの連中は豚と同じだから我々のために犠牲になっても当然」と自らを納得させて良心を麻痺させているというところでしょう。まあかなり歪んだ体制ってことだけは分かりました。もっともこのような体制になったら、通常は消耗品にされている連中が中央に対して叛逆を起こしそうなものですが(軍事力を有しているのは彼らなので)、外からの脅威が強すぎるのでそういう方に向かう余裕がないんでしょう。

 ってことは、その外敵の脅威がなくなった時が一つ転機になりますね。普通に考えると中央で特権を貪っている連中は、外敵がなくなったら今度は彼らが蜂起する危険性を当然のように考えるでしょうから、そうなる前に彼らを大虐殺するってことになるのが容易に推察できます。

 

前半はかなりスピーディなアクションで描かれる

 後半はヒロインの行動を中心にようやくこの世界の構造が明らかにされましたが、前半は単純にアンダーテイカーを中心とする部隊の戦闘シーンの連続でしたね。この辺りの描写はかなりスピード感もあってよく出来てます。アンダーテイカーの戦闘力が半端でないということも示されてました。

 ただ分からないのはアンダーテイカーのどういうところが、今までの歴代の上官達の精神を正常なからしむる結果につながったかです。目下のところだと表立って反抗するというわけでもなく、単に有能極まりない兵士って印象ですからね。さすがに上官をそれだけ追い込むとなると、どこかに狂気のようなものを秘めていると考えるのが通常。

   
当然のようにメカのプラモが出てます

 しかしヒロインはその辺りにはまだ全く疑問は持っていないようで、アンダーテイカーを初めとする部隊の連中に「人間として」接しようとしていますね。部隊の連中はそういう彼女のことを「甘ちゃんのお嬢様」と感じているようです。現実を分かっていないなという呆れのようなものは感じられますが、目下のところは特別に悪感情は持っていない模様。

で、やはり当然のようにフィギュアも

 だがこういう異常な情勢の中だと、いずれは立場の違いというところから生じる軋轢は不可避だろう。ヒロインは明らかに理想主義者なので、今後は厳しい現実にうちひしがれる展開というのが何度かやって来ると予想できる。それらを乗り越えて、部隊の連中と本当の意味での絆が出来、それがひいては体制そのものを覆すことにもつながっていく・・・ってのが普通に予測できる王道展開だが、果たしてこの作品はどういう形になるか。

 

出来の良さそうな作品だけにかなり嫌な予感が今からするのが勿体ない

 嫌な予感がするのはこれもラノベ原作らしく、しかもその原作はまだ現在進行形らしきこと。これから考えると、結局は何も始まらない何も終わらない形でアニメはぶち切られ、結局は作品自体は原作を売るためのプロモーションビデオでしたって結果になるのが何となく見えていること。アニメ独自の結論をつけるなんてことは多分しないだろうから、それを考えると3ヶ月後には「結局何だったんだ、この作品」と言うことになるというのが、今から見えている。やっぱりアニメオリジナル企画がほぼ壊滅した今日ではまともなアニメ作品は期待できないのかな。最初からノベルのプロモーションビデオのための名場面集って割り切ってみるなら、なかなかよく出来てそうだが。

こちらが原作の小説の模様

 まあ最近はそういう視聴者を馬鹿にしたような作品ばかりになってますからね。この作品にはその轍を踏んでもらいたくないが、諸般の情勢を考えると、十中八九その轍を踏んじまうだろうな・・・。

 

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