白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

無職転生~異世界行ったら本気出す~ 第6話「ロアの休日」

あのお嬢の背景が見えてきましたが・・・

 何とか家庭教師として雇ってもらいましたが、あの暴力お嬢をどうやっててなづけるかという話になってきました。

     
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 あの家の家庭構成が今回大体分かりましたが、確かにかなり問題がある家のようです。家の長は事実上暴力ジジイであり、お嬢はそのジジイの影響を受けてああなったという可能性が非常に高い。このジジイ、人間的に悪人というわけではないのだろうが、とにかく暴力体質が身に染みついてしまっているという困った体育会系親父。そして母親はいないに等しい雰囲気になっている。こんな滅茶苦茶な家なら、そりゃ娘も滅茶苦茶になろうというもの。

 

やっぱり対人スキルが巧みすぎる元ヒキニートに違和感

 ただ主人公はなんだかんだで巧みにお嬢の心を掴みつつありますね。何でもかんでも言うことを聞くわけでなく、時にはガツンと言わないといけないし、かといってへそを曲げるとタチが悪いから時々は巧みに持ち上げて誘導する。なんかこの辺りの対人スキルがやはり中の人が40までヒキニートやっていた人間としては不自然なんですが・・・。こういう対人スキルこそはいくらエロゲーやりこんだところで磨かれるものでないし(と言うか、むしろ退化する)、結局は場数を踏むしかないのですが、主人公は前世でそちらを決定的に失敗しているはずなので、あの巧みすぎる対人スキルが非常に違和感満載なんですよね。確かに「今度こそキチンやり直す」と決意したら、人生に対する姿勢とかは変更することが出来るけど、対人スキルなどの元々備わってないものは自然には補えない。主人公は前世では完全にヒキニートでしたが、こっちに来てからも子供の頃の人間関係は両親とメイドだけだし、外に出るようになっても友達はシルフィだけというかなり狭い交友関係だったし。結局は対人スキル磨く機会はなかったはずなんですが。

     
原作小説はかなり先まで進んでいるようですが

 恐らくこの作品の作者は「ゲームで体験していたものを実地で実践するだけ」って認識なんだろうと思うけど、そこのところに根本的な無理があると思うんだよな・・・。結局はそこのところに齟齬があるから、中の人の存在を表面に出せば出すほど主人公キャラに説得力がなくなってくるという調子になっている。だから私は以前から「中の人を正面に出すな」と散々言っているんだけど・・・。

 

私だったらやっぱり少し設定を変えるな

 その辺りの違和感を置いといたら、今回なんて話としては結構面白いんですよ。つまりはツンデレの究極形の攻略ストーリーであり、ドタバタを絡めてその辺りは楽しく描いてるんで。そう言う意味では、こちらの世界の記憶を持って転生したキャラという設定が実際にはあまり有効に機能していないんですよね。これだったら変に中の人を正面に出すんでなく、私だったら主人公が現世で事故に遭って死ぬ時に「くそっ、これで俺の人生は終わりか・・・。せめてもし生まれ変われたら、次こそは真面目にやり直ししたい」という強烈な意識だけ残す。そしてこっちの主人公はその強烈な意志だけを受け継いだキャラと言うことにして、ことさらに中身は中年の親父というのは出さないようにするな。ただ時々、ポロッと前世の記憶の断片のようなものが飛び出して「なぜかは良く分からないが、僕の中の誰かがこういう時にはこうしろと言っている」というような形の登場にする。そして主人公はたまに妙に悟ったようなことを言う時があるから「お前、時々妙にオッサン臭くなるな」とツッコミを入れられるぐらいのキャラで。転生はしてるんだが、前世のことをすべて覚えているのではなく、強い意志だけを受け継いだという形。

 面白くないわけでないのに、中の人が正面に出てくる度に気持ちが引くんですよね。それがこの作品の一番の難点。恐らく小説だったらここまではならないと思う(中の人と言うよりは一種の説明者のポジションになるから)。多分アニメ化した時の失敗だな。

 

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