良い奴ばかり過ぎて、少し嘘くさかったかな
唐辛子のことを鷹の爪と言いますが、今回の話はそのまんまの話。能ある鷹が爪を隠しすぎた結果、それがストレスとなっていて怪病を患った話。
しかし、今回は登場人物が悉く良い奴過ぎて話にリアリティがないな。ずっと争ってきたライバルである親友が、自分に負けたことを悔しがっているのを知って、気を使ってわざと冴えない奴を演じる男とか、そんな親友に対して「俺に変に気を使わずに本当のお前になれ」と本気で怒る親友とか、あまりに美しすぎて一昔前の青春ドラマなみの嘘くささを感じずにはいられない。実世界で散々汚れきったオッサンには「あり得ねぇ」ってのが正直な感想でしたね。
まあこの作品って、人間ドラマが本質的に甘いというか、浅いというかって感じを以前から受けていたんですが、今回はもろにそういう感覚を強烈に受けました。別に人間のダークな感情を前面に出せとはいいませんが(むしろ私はそういう作品は嫌いなので)、ちょっとあまりに「それはないんじゃない?」って展開が続いたら切り込みの甘さが気になりますね。
美しい話なんですけどね。互いにライバルであり親友であるからこそ、互いのことを気にかけていたという。最初はどちらかが相手に対して負の感情を実は持っていたのかと思っていたんですが、結局はそういうものは微塵もない話だった。いやー、本当に多くの人間がこれだけ美しかったら世の中はもっと良くなるんですが、残念ながらそうじゃないんですよね。それが現実。
次話はこちら
前話はこちら