白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

魔女の旅々 第9話「遡る嘆き」

作品が暗黒変して、とびきりのサイコホラー展開

 ドヒャー、そろそろだと予測はしていたが、とびきりの暗黒変が来たな。今回のは完全にサイコホラー。

     
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 最初は金欠で腹を空かせて仕事を探すイレイナというヘッポコな雰囲気で来て、エステルとのやりとりも当初は漫才のような雰囲気だったが、「二丁目殺人鬼」というキーワードが出た辺りから雰囲気が変わり始める。

 つまりはエステルはセレナが両親を強盗に殺害されたことで性格が歪んだと思っていたのだが、彼女はそれよりももっと以前に歪みまくっていたということ。その原因は彼女の言によると家族からの虐待という話。特に父親からは性的虐待を受けていたということを言っている。これが真実かどうかは不明だが、実際にはセレナの父親がああ見えて変態であるのは、エステルと出会った時のリアクションで暗示されている気がする。

 エステルが自分をエステルの姉と紹介した時、母親の方は「そう言えば似ている」と言っていたが、父親の方は「そう言えばうなじの感じとか、首のラインはエステルと同じ」っていう奇妙な指摘をしてるんですよね。普通なら「そう言えば目元がそっくりかな」とか「顔全体の雰囲気が似てる」とか言いそうなものだが。この辺りはどうも少女性愛的なものを匂わせていると感じた。

 で、親父が変態だとしたら、セレナももろにその影響を引いているところに虐待が加わって快楽殺人者の資質を開花させてしまったというところか。それにしてもセレナの殺人シーン、怖さが半端ない。完全に別の作品になってしまってましたね。いわゆる「ひぐらし」のシリーズかと思った。

 

イレイナが珍しく人間らしい反応を示した気が・・・

 それと以前から匂わせていた魔法の限界が今回明快に現れてます。魔力に限界があって、それを越える魔法を使う場合には何らかの代償を要求される。王女ミラロゼは自身の記憶を代償にして呪いをかけ、エイヘミアは国王の願いを叶えるために自身の声を代償にしていた。今回のエステルは最後に自身の記憶を代償にしてセレナを自らの手で葬った。それにしてもまた首チョッパというかなりエグい方法での殺害です。やっぱり作品が「ひぐらし」シリーズになっている

 しかしここで記憶を代償にするのはある意味では救いでしょう。ずっと親友を救えずに自らの手で葬ったことに罪の意識を抱いていて、親友を救済するべく大魔法を駆使して過去に遡れば、その親友は自分のことを友人とさえ思っていない、狂気に満ちた根っからの殺人者だったなんて救いがなさ過ぎる。それこそ忘却こそが唯一の救い

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 ただ私的にはそのことよりも一番のポイントは、今回の件についてイレイナが、エステルが二度にわたって親友を自らの手で殺害することになるのを防ぐことが出来なかったと、涙を流して自らの無力さを嘆いていたことです。あれこそが通常の人間の反応だと思うし、イレイナが今まで全く見せなかったこと。以前のイレイナだったら、ここは「このことについては思い出したくもありません」と不快感だけ示して「さあ、次」って感じになっていたのが常でしょうから。ようやく彼女が当たり前の人間らしい感情を示した気がしますね。これは旅による彼女の成長と解釈すべきなの? しかしそうだったら、最初の彼女があまりに先天的にぶっ壊れすぎのような気がするが。

 

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