白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

魔女の旅々 第5話「王立セレステリア」

 なーんか、急に前回までとは空気の変わったほんわかほんわかした話になってたな。要は最初に登場した本って、ニケの旅行記に影響されてフラン先生が書いた「痛い話」が、原稿をカバンごと売っちまったせいで出版されてしまったってことか。

     
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 あのフラン先生のマイペースでほんわかした性格が強烈すぎて、彼女が登場したらそれだけでストーリーが引っ張られるらしい。悪意は全くないが強烈な天然で、基本的に他人の事情にはお構いなしというタイプ。現実的には全く悪意なく(というよりも本人としては善意のつもり)でとんでもない迷惑を回りにかけるタイプ。今回なんかヒロインが完全にフラン先生に食われていた。こういう展開になると、あの冷淡なヒロインも「普通の女の子」って側面が出てくる。キャラの濃さの差で負けてるのか(笑)。

 で、いつになくヒロインを「可愛く描く」ってことに力が入っていたきらいがある。なんかあまりに作風が一変してしまったから、この作品ってどんな路線を目指しているのか統一されてるの? って疑問が出てしまう。

 箒でのチェイスシーン、やけに力が入ってましたが、この箒ってかなりの速度が出るし術師の腕次第でアクロバット飛行も自由自在か。ただあんな激しく動く箒に普通にバランスとって乗るのはまず不可能ですから、術者の姿勢自体も箒といっしょに魔法で制御されてんでしょうね。箒は一種のシンボルであって、実はなくても術師自身は飛べるんじゃないかという気もしてくる。

 今回は一癖ある生徒たちも含めた楽しいドタバタとして成立してました。生徒たちもそれなりにキャラ立はしてましたし。こういう展開自体は嫌いじゃないというか、こういう展開の方がしっくりくると思う、この作品。

 ただね、相変わらず気になることは、この作品には「普通のキャラ」ってのが全く存在しないこと。今回の生徒たちのキャラって、まあドタバタアニメのお約束パターンキャラって考えたら「あり」なんですが、現実に考えると「いねぇよ、こんな極端な奴」ってパターン。前から感じているのは、この作品の作者がコミュ障気味で普通の人というのをイメージできないか、創作にはこういう極端なキャラを配置するという方法論でわざとしているか。そのあたりが付きまとう違和感の根本でしょうね。

 その一方で魔法というスキルが、普通に社会のスキルとして職業につながっているという「普通でない普通な状況」は普通に登場しましたね。なんか「普通って何なんだろう」と疑問を感じてしまう世界。

 

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