結局はかなり古臭いが手堅くて無難作品だった
MFゴーストのところで「昭和臭」と言ったんだけど、今期の作品の中で一番昭和臭が濃厚なのが実はこの作品だったりするんだよな。ちなみに私は昭和生まれのジジイなので、昭和臭という言葉を決してネガティブに使ってはいないので要注意。私の場合は実際には変に今時の作品よりも、明らかに昭和臭が漂うような作品の方が相性が良いから。そういう点でこの作品は最初から私には相性が良い。
登場人物が濃厚に描かれていて、主人公に成長要素があり、主人公の活躍がポジティブに回りに影響を与えていって、基本的には悪人が存在しない世界という健全な内容。私には響く要素が多いんだが、今時の若者から見たらあまりに健全すぎて嘘くさい世界に見えるような気はするな。そういう点で古臭い作品なのは間違いない。
王道バリバリのまとめは好感だが、今時はウケないだろうな・・・
で、古臭い作品らしく王道バリバリのお約束展開で綺麗にまとめてきた。最終的には悠が初めてトップで表彰台に立つという展開。まあこういうオチにならなかったら嘘だろうな、この作品の場合は。最後はギリギリの白熱する攻防の中で春永を抜き去るという辺りがまあ「燃え」ポイント。後続車と絡んで「俺は周回遅れと相性が悪いな」と爽やかに去って行く徳丸君は、彼自身の成長を描いていて一つのポイントではあります。伏線としてはレース前に悠にかつての自分の八つ当たりについて詫びるという行動が繋がっているというお約束展開。本作では悠を初めとして孝哉、さらに徳丸の成長が話の核心なんですよね。面白いのが春永のキャラで、天才肌のチャラ男に見えて実は努力家でもあり、回りにさり気に配慮している大人キャラ。結局は徳永を良い方向に誘導したのは彼ということになる。
というわけで本作は私的には高評価作品になるんですが、同時に「今時には絶対ウケないよな」という確信のようなものもある(笑)。むしろ今時になぜこういう作品が登場したのかってことの方が興味があるな。F4を盛り上げようというPR作品とかなら非常に納得がいくんだが。F4だけでなく東日本震災のことも盛り込んでいたし(その扱いはあくまで真面目で、朝ドラの「半分青い」とかのようなふざけた扱いではない)、地味に地域振興的な話も織り込まれていたり。今時珍しいぐらい健全なんだよな。
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