白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

オーバーテイク 第11話「ホップ→ステップ→ ―Godspeed! Psych!―」

資金の壁にぶち当たった小牧モータースに予想外の助っ人が

 前回は表彰台どころか優勝さえ見えていたにも関わらずタイヤで泣いた悠。しかし小牧モータースの面々は異様に前向きというか、元々金がないところでやっていたから仕方ない、次や次という様子。スポンサーを失った悔しさよりも、一時でもスポンサーがついたことをボーナスステージのように考えている超前向き思考。うーん、怪しい自己啓発本とかのモデルになりそうなぐらい前向きだわ。

     
こっちもBlu-ray発売が決まっているようで

 そして前向きな連中のところには協力者が現れる。同じくあのレースに注目していて「悔しさ」を共有したご近所商店街の皆さんがまさかのスポンサーに名乗り出てくる。いやー、心温まるお話ですね。自治会の神輿の修復資金でも集めるノリで出資金を募ったんだろうな。実は私はクラウドファンディングでもするんじゃないかって思ってたんだが、それよりはこの展開の方が熱いわな。それにしてもあまりに順調にことが進むのは、やはり怪しい自己啓発本みたいだ(笑)。「笑顔こそが最強の運を引き寄せる」とか言って。

 

 

悪い奴がいない美しい世界

 この作品の一番の特徴は、基本的に悪い奴がいないんですよね。小牧モータースの面々は当然として、ライバルであるベルソリュートの面々にしても。パターンとしてはああいうところの監督は、自分達の資金力をバックにして小牧モータースに対して「うちはオタクとは根本的に格が違うので」とあからさまに見下してくるっていう嫌な奴ポジションになるのが普通だが、あの監督って元々悠の親父さんとチーム組んでたということがあるせいか、悠に対して好意的だし。以前のエピソードだって小牧モータースを潰すために引き抜きかけてきたのでなく、純粋に悠にチャンスを与えようとしていたから。

 復帰した春永にしても、パターンなら天才を鼻にかける嫌なライバルってポジションになりそうだが、隠れて努力を重ねる天才というポジションだし、今回なんてさり気に徳丸のことを気遣っているってのを描いてましたからね。最初の頃は思うようにいかずに鬱屈したところのあった徳丸も、ここに来て自覚が出てきて覚醒しつつある様子で、見事に闇落ち回避しましたから。いやー、実に健康的な作品だな。

 で、次回が最終回のようですが、最後はやっぱりお約束で悠が表彰台に立って、孝哉がそれを撮影することで二人とも次のステップに踏み出すっていう健康的な展開になるんでしょうね。ここでレース途中に悠のマシンが春永と絡んで二台がもつれ合いながらコース外で大炎上、悠は父親の後を追うことになってしまい、その光景を目の当たりにした孝哉はショックで二度とカメラを手に出来なくなるなんて展開が来たら、ある意味で伝説になりますが、クソ作品認定確実です(笑)。だけど実際にクリエイターとかはここまで予定調和の綺麗な作品を作っていたら、最後の最後で全てをぶち壊す破壊衝動に駆られることってあるんですよね。まあ中には、わざとそういう展開を取って「俺って斬新」と一人悦に入る厨二もいますが。

 

 

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