ラストになって最強の敵が・・・と言われても盛り上がらないな
さすがに無双すぎるマティアスが、立ちふさがる敵をバッタバッタと一方的に征伐していくだけのストーリーだと、話自体に緊迫感もなければ山場も作りようがないので、ラストになってようやく「マティアスよりも実力的に上らしい敵」を持ってくるというお約束の展開がきた。とにかく無双すぎる主人公ってのは、作品の盛り上げをつぶしてしまう一番のストーリーブレイカーになるんだから、もう無理矢理にもこういう展開を持ってくるしかないだろう。
そりゃドラゴンボールで悟空が無双すぎて、フリーザでも魔神なんやらでも、全く苦労せずに一撃で粉砕してしまったら話が成立するかって考えたら、無双すぎる主人公なんてストーリー立てで障害にしかならないのは明白。それでもその無双さを痛快無比に描ければ良いが(例えば昔の時代劇みたいに天下御免の主人公が、悪党を真っ正面からバッタバッタとなぎ倒すなど)、そもそもこの作品は魔族は悪だと言っているものの、その魔族の悪党ぶりが十分に描けていないので、そこに痛快さはなくて単に弱者を一方的に虐殺しているだけに見えてしまうんだよな。
そういう意味ではこの作品って全体的にキャラクターの描き方が浅い。そのせいで悪党が悪党として確立しきっていなくて、それがストーリー全体が締まりが無い理由になる。結局は最後までそうなってしまった。
結局は何を描きたかったのやら
いくらマティアスよりも強い相手といっても、それでマティアスが倒されてしまいましたでは話が成立しないので、どうにかして勝つのは分かっているが、それがマティアスが転生前に作ったアイテムを使えばちょっちょっとやっつけられると来るもんだから、安直すぎて・・・。しかも所有者の命が失われたことをキッカケにして、蘇生と大量の魔力の補充を行う剣って・・・もうご都合主義過ぎて。まあこの手の作品は多かれ少なかれご都合主義は不可欠なので、それ自体は悪いとは言い切れないんですが、ここまでご都合主義を正面に持ってこられると失笑してしまう。
その挙げ句に最後は超回復を遂げた無敵のマティアス様が、マティアスの実力を遥かに凌いでいたはずのザリディアスを一刀両断して目出度し目出度しって、もうあまりに安直すぎてやっぱり最後まで緊迫感も盛り上がりも微塵もなかったな。
結局は女ばかりパーティーの中で無双のマティアス様がモテモテでウハウハというだけの話だったのか。もっともそう見た時には、最初からマティアスの本命はハッキリしていて、しかも他の2人はマティアスを尊敬していても男として興味があるわけではないという奇妙な関係性なんだが。この3人とマティアスが幕間で繰り広げていたヘッポコほのぼのストーリーの方が実はメインで、作者が描きたかったものなんだろうか。そう考えたら何となく理解できる気はする。今期は「リアデイル」とか「賢者の弟子」とかヘッポコ系ほのぼの劇がやたらに多かったが、この作品も最終的にはその一環だったか。
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