白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

takt op.Destiny 第12話「託人-Hope-」

綺麗な最後ではあるが拍子抜けな点も多々

 なんかお約束パターンの綺麗なエンドに持ってったってところだな。ザーガンは意味不明の自滅って印象だが。人の死を見ることに疲れた挙げ句に「これ以上皆を犠牲にしないために、全員を殺す」というわけの分からない結論に至ってしまった。ある意味で彼は正気でいながらぶっ壊れている。まあ根っからの悪人ではなくて、根っこのところが甘い人間だったって意味でもあるんだろうが。

   
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 そう言えばこの作品では終始一貫アメリカしか出てこなかったから他の国のことが分からないのだが、他の国も同様にD2の被害が出ているはずだよな。それともD2は目下のところアメリカ大陸に限られているのか? どうもそこのところがよく分かっていないので、D2をこの大陸に封じ込めると言われてもピンとこなかった。

 しかしD2をアメリカ大陸に封じ込めることが出来るんだったら、もっと狭い範囲。例えばニューヨーク内に封じ込めるってことでも同じ気がするんだが、なぜアメリカ丸ごとを犠牲にしようとしたのかその発想の飛躍が納得いかんな。配下のシンドラーなんかはザーガンの意図を中途半端に自己流で解釈したのか「我々が生き残るべき人間と犠牲になるべき人間を仕分けする」という選民思想に偏った挙げ句に切り捨てられたが。

 

 

オルフェウスはパワーアップと言うよりもダウンしていたような・・・

 そして運命の前に立ちはだかったのが天国と地獄が融合したオルフェウスなるラスボス。いかにもパワーアップしたヤバそうな奴という雰囲気で登場したが、運命があっさりと「一人の方がやりやすい」と言ったように、確かにそうパワーアップしたようにも見えなくて、実際のところはパワーダウンしていたんじゃって気さえ起こるな。まあ最期の気合いを入れてきた運命がパワーアップしたんだと見るのが正解なんだろうが、ぶっ壊れていた地獄ほどの威圧感もヤバさも感じなかったのは事実。

 無限再生的な力を持っていたから、それがあったら倒せないのではという感じだったのだが、なぜか最期にはそれが止まってしまって瓦礫の下敷きで終わりっていう呆気ない印象でした。まあラスボスは勿体ぶって現れて、やられる時はあっさりってのは昔からのお約束ではありますが。

いかにもゲーム原作な、ラストの営業的蛇足だけは頭にくる

 そして事態を解決したタクトは力尽きて倒れて、それに寄り添う運命は消滅。消えてなくなってしまったと言うよりも、姿を保てなくなって石か何かに戻ったという解釈でしょうか。もっともタクトはまだ死んではいないようで、その後はゲームに続くって展開・・・おいおい、ここまで来てすべては今度出るゲームのための序章でしたってオチか? ゲーム原作はこれがあるから嫌いなんだ。まあ一応、ここでこの話は終わったと考えるぐらいの大人の分別は私は持ち合わせているつもりだが、あんまり視聴者を馬鹿にするなって気がする蛇足だな。正直、ああいう形でゲームの宣伝されると、そんなゲームは死んでもするかって考えてしまう。私のようなひねくれ者は。

 というわけで最後のビジネス的蛇足がカチンときましたが、それは見なかったことにして、ラストはタクトも運命も使命を終えて消え去る悲劇的な展開だったとして見れば、運命とタクトのそれぞれの成長も描けていて、ラストの悲しい運命もやるべきことをなした必然のエンドと考えると後味は悪くはない。というわけで営業的な思惑を除くとまずまずの作品だったんですよね。だからこの作品は今期のNo1候補でもあったのですが・・・それだけにあの蛇足が頭にくる。

 

 

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