いささか唐突すぎる世界設定に違和感が強い
うーん、いわゆる超越者展開だったか。この世界を仕組んだものは神でも高度な異世界人でも良いんだが、とりあえずこの世界を残すかリセットするかの選択を巫女に託していると。何か唐突すぎる強引な展開だよな。SF的に表現すると、宇宙のどこかの高等生命が生命の実験としてこの世界を設定し、それを観察していると。彼らはあくまで「観察者」であるから、その生物たちが自滅しようが何をしようが干渉の権限はないと。
というSF設定を持ち出してきたら、実は昔からよくあるお話ではあるのだが、正直なところこの作品でそれを持ち出してきたらいささか興醒めしたというのは事実だな。あまりにも世界観から浮いていて。せいぜいがかつて強大な武力でこの世界を支配していたラピュタの遺跡ぐらいのバランスにしておいて欲しかったというのが本音。
ちゃぶ台返しとか、ぶち壊しとまでは言いませんが、いささかこの作品とミスマッチなんですよね。ここまでコテコテに東映まんが祭的王道展開に持ってきているんなら、最後までそのテイストで一貫していたらよかったのに、最後の最後に来てエヴァンゲリオン以降の今時アニメテイストが入り込んできた印象。結局最終的には全部チャラになるってんなら、ラピュタでもアトランティスでもよかった思うんだが・・・。
端的に言うと変人女と男ツンデレの純愛物語か
結局はフェナは記憶を失ったわけだが、雪丸達と一緒にいることで記憶は戻らないものののそもそものフェナに戻っていくという展開。ってことはフェナの性格って天性のものがかなり大きかったってことか。確かにあの生い立ちであの性格ってのは、通常はあり得ないような感じではあったが。まあフェナの母親もかなり好奇心が強くて、変人的な要素があったようであるから、巫女の血筋の特徴なのか?
最後は雪丸が耳を赤くしながら愛の告白というお約束。こいつはとにかく男ツンデレですから、こういう素直な気持ちを表現しない。確かに今まで「お前を守る」ということは何度も言っていたし、明らかに行動で丸分かりではあったんだが、とにかく「愛している」だけは言ってなかったな。ところで男ツンデレってのが、今期のアニメのパワーワードか? 何か私自身、あちこちの作品について「男ツンデレ」って言葉を使った記憶がある。思い返してみると覚えているだけで「SCARLET NEXUS」に「アクアトープ」にさっき書いた「辺境のパラディン」か。もしかしたらまだあるかもしれん。
とりあえず最後には完全に納得はいっていないし、細かい点では残念なところも多々あります。例えばあの海賊連中とか、明らかに使い切れていないキャラが少なくありません。またアベルの表現についてもいささか無理があったし、もう一段深く斬り込んで欲しかった気もなきにしもあらず。だけどトータルで見たら、今時アニメの中ではまずまずだったと思います。少なくともなろう系とゲーム原作ばかりのなかでは、こういう意欲的な作品は貴重。
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