白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

2020年秋アニメ作品評価

 2020年の秋アニメについての作品評価の点数を発表します。なお2クール連続作品の場合は、最終回が含まれるシーズンに評価することにします。

 評価についてはまず総合評価はA~Dの4段階でAが最上でDが最低となります。
 各項目は「キャラの魅力」というのはいわゆるキャラ萌えとかいうのではなく、キャラがリアリティや魅力を持ってキチンと描かれているかということ。「ストーリー性」はそのものズバリの盛り上がる興味を持てるストーリー展開となっているか。「納得性」というのは話の設定に無理があったり、ストーリー展開が無茶だったり、演出がひどかったり、そもそも作品が完結しなかったりなど、納得しにくい難点を抱えていないかというものになり、各項目3段階で評価しています。

 

魔女の旅々

総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 最後までどうもブレの激しいヒロインの性格設定がしっくりこない感がつきまとい、最終回の「十七人のイレイナ」展開は「実はこれはすべてパラレルワールドの話でした」って自虐ネタかと思ったぐらい。ギャグ調から暗黒調まで振れ幅の広いストーリーは興味深かったのだが、その語り部たるヒロインに今ひとつ説得力が無かったのが大きなマイナス。

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 長編シリーズの途中で、しかも私が前シリーズを見たことがないという極めて特殊な条件で視聴を始めたのであるが、それにも関わらずそれなりに楽しんでみることが出来た。主人公のキャラが一貫性があるために話がブレないのがポイント。正統派ファンタジーのコテコテの話で、一切奇をてらったところがないが、それが逆に安定感につながっているようにも思われる。

 

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 ファンタジーものかと思っていたら、結局は単なるラブコメだったという脱力作品。それでも楽しければ良かったのだが、同じような展開の繰り返しが多くてかなりくどいという印象を受けた。その上にいかにも途中ですというような終わりで作品として完結しなかった。第二期が出るのかどうかは定かではないが、出たところでそう化けることはなかろうと推測する。

 

100万の命の上に俺は立っている

総合評価 C
キャラの魅力☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆

 登場キャラがすべて一癖ある連中なんだが、どうもその性格設定がしっくりとこない。各人がダークな面を抱えているというのはいかにも今時ではあるが、その現れ方が極めて不自然で「本当にこんな奴いる?」って疑問を感じる局面が多々。理不尽すぎる世界設定はわざとそうしたということは分かるが、その中でのキャラの行動原理がブレブレでキャラに全く共感を持てないというのは見ていてツラすぎる。

 

戦翼のシグルドリーヴァ

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 ブログの方では途中で落ちてしまったのだが、実はその後、一応は最後までチェックはしている。とは言うものの、結局は最後まで美少女パイロット萌え作品という基本からは外れなかった。後半になってお約束のハード展開なんかもしてみたものの、結局のところはストーリー的には極めて雑。と言うわけで特段の魅力は無かった。

 

神様になった日

総合評価 C
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 前半のドタバタしたドラマはなかなかに良かった。キャラの特徴も結構濃く描けていたし魅力的である。実のところ最後のいささか無理のある暗黒展開がなければ作品評価はもっとと上がったのだが。最後のオチが強引かつ矛盾がありすぎ。変な形でひねりすぎたという印象を受ける。ヒロインを取り巻く日常生活の描写等は良かったので、普通に無難にまとめた方が良作となったのだが、実に残念。

 

魔法科高校の劣等生 来訪者編

総合評価 B
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 前期シリーズに比べるとストーリーに動きがなくなった分、どうしても面白味に欠けたところがある。新ヒロイン登場で話にテコ入れしているが、このヒロインが本当に生きてくるにはまだ時間がかかりそう。無双すぎる主人公という設定及びキャラデから番組名までが夏アニメの「魔法学院の不適合者」と被りそうになるが、どちらか言えば爽快感はあちらの方がある。

 

禍つヴァールハイト-ZUERST-

総合評価 D
キャラの魅力☆ ストーリー性☆ 納得性☆

 行動原理がないどころか、状況にひたすら振り回されているだけの登場人物、さらには何の説明も合理性もなく強引に進む状況、そして一番最後の最後に実はこの作品は丸ごとゲームの宣伝でしたというオチ。もう単独作品としてはどうしようもない。これは付き合って損したと感じた。

 

憂国のモリアーティ

総合評価 A
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆☆

 ホームズの敵であったモリアーティを大胆に膨らませたクライムストーリーというのが斬新。とんでもなくダークなストーリーだが、主人公を突き動かす動機のようなものが強烈に感じられてキャラの説得力はある。また今までのイメージを打破するようなホームズの設定も実に興味深い。ストーリーにもメリハリがあって興味をつながせるようになっている。

 

池袋ウエストゲートパーク

総合評価 C
キャラの魅力☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆

 現代ネタを扱っている割にはストーリーの切り込みの浅さが目立つのが一番不満のあるところ。キャラはそれなりには描けてはいるのだが、そもそも半グレ連中を正義の組織のように描いている作品のコンセプトがどうなのよという疑問はつきまとう。

 

NOBLESSE-ノブレス-

総合評価 B
キャラの魅力☆☆☆ ストーリー性☆☆ 納得性☆☆

 ヴァンパイアのサイキックウォーズものと考えて、あまり興味を持たずに見始めたのだが、実のところ内容的にはそちらよりもヘッポコした学園ものの方がメインであった。この落差がずっこけるところだが、コテコテのキャラクターが意外なほどに魅力的に描かれており、それに対して絶妙にボケの位置にいる主人公が引き立つ。全く予想外であったが、予期せぬ面白さがあった作品。

 

総評

 以上が2020年秋期作品で私がチェックしたもの。夏期よりはチェック作品が増えているものの、全体として評価Cの作品が多く、突出して面白い作品はなかったという感のあるシーズンである。長編原作の途中という話が多く、尻切れトンボの作品が少なくないのもツラいところ。どうも昨今のアニメ作品の悪しき風潮がまんま出ている。しかもその最悪の濃縮と言えたのが「禍つ」。こんな単独のアニメ作品として成立しないものを出してくるなと言いたくなった。

 そんな中で一番興味を惹かれたのは「憂国のモリアーティ」。前半の悪徳貴族を抹殺する仕事人的展開もそれなりに面白かったが、後半にホームズが登場しての知的な駆け引きが必然的に話を盛り上げる。ホームズの作品からエッセンスだけを拝借して、大胆に創作しているのが上手い。

2021年冬期作品評価

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2020年夏期作品評価

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