白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

バック・アロウ 第24話「我が赴くは星の群か」

馬鹿馬鹿しくも強引だが最高の大団円

 力技の大団円。今回はサブタイトルを最後まで出さなかったですが、それは一種のネタバレを避けるためでしょうか。それにしてもかなり強引な展開でした。つまりはリンガリンドを含むこの世界自体が、生き残りの赤ん坊を生かすための生命維持システム。アロウ達はその中で発生したがん細胞のようなものか。当然ながら体内の免疫システムは全力でそれを排除に向かうというお話。

     
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 「過剰な生存性能」とか「悪政叛逆種」なんて言葉はもろにがん細胞を連想させます。実際に描かれたこの世界のイメージは細胞そのもののイメージが登場しましたね。つまりはこの世界は体内の世界みたいなものか。それにしても最終的にアロウはこの赤ん坊を救って元の星に送り届けるなんてとんでもないことを言い出したんですね。さすがにこれには天才シュウでさえ「ええっ!!」だったんだが、完全に世界の概念を越えてしまっているわけだ。

 つまりは「はたらく細胞」の白血球さんが、「今、この身体が道に迷って死にかかっているというのなら、俺がこの身体を送り届けてやる」って言ったみたいなものか。そう言えばあの作品でも人体のことを「世界」って言ってたな。もっともそう考えるとかなり無茶なことを言っているんだが、そんな無茶を飛び越えてしまうのがアロウという存在というわけで。と言うことでかなり無茶苦茶な力技の大団円です。だけどこの作品の場合はそれで正解かなと思わせる。

 

全キャラが見せ場を作る展開が泣ける

 実際に作品自体はよく描かれてました。リンガリンドの戦いでの「雑魚連中総活躍」が流石に熱くなりましたね。しっかりとあのレッカの雑魚二将軍も見せ場を作ってましたし(笑)、暑苦しいオッサンが暑苦しい名乗りを上げながら執念の一撃。いやー、やっぱりこうこないと。なかなか最後の意地という感じで良かったです。

 そして引き続いてプラークの「我が兄の無念、今こそ晴らす!!」ですからね。もう涙出ましたよ(笑)。やっぱりこの台詞は絶対に外せません。最後の最後の一番良い場所で登場しました。うーん、これは絶対にあると確信してましたが、やっぱりありましたね。こういうツボは絶対外さないという安心感があるな、この作品は。しかもここで繰り出すのがソーラ先生ことウェルナーとゼツの技を融合した新技。これはかなり熱い。

 

さらに超ご都合主義のあの方達の復活

 これがついにルドルフのブライハイトを粉砕する。しかしルドルフのさらなる攻撃でフィーネが危機に、一方のアロウ達も信念子が尽きて絶体絶命。この時に現れるのがフィノワールとゼツってのは、さすがにルドルフでなくても「まさか」です。エピタスマウンテンが破壊されたためにこの世界に留まっていて、前回のアロウの行動によって再び実体化する機能を得た・・・ってなんて豪快にご都合主義なんだと驚かさせるが(笑)、まあこの作品の場合はそのご都合主義の集大成をパワーと勢いで押しきってしまう。ストーリー立てとしては出鱈目極まりないが、この作品の場合はそれであり。実際のところこのシーン、視聴者の大半は「出た!!」と思わず拳を握りしめるところ。フィノワールのフィーネに対する「よく頑張ったじゃない」という台詞なんて泣けてくるな。フィノワールが亡くなった時のフィーネとの和解を思わせる台詞を受けて、今度はフィーネのさらなる成長をフィノワールが認めるという。うーん、素晴らしい。

 そして大反攻開始。雑魚の最たるものだったプラーク機甲師団のイケメンが「雑魚などとは言わせない!!」と渾身の攻撃する辺りなんて、笑わせられながらも熱くなります。プラークのその後の「貴様の技、見切った」的な展開が良いです。

     
彼女は最後にキチンと見せ場を作ったな

 ルドルフに対して啖呵を切るフィーネがまた格好良いですし、限界が来たゼツ達が最後の技を放つ展開まで息をつかせぬ。最後はやっぱりゼツの必殺技の模様。それに全員が乗っかってのまさに「石破ラブラブ天驚拳!!」。ここでフィノワールがプラークに最後の別れを告げるところや、それに対するプラークの返しが又良い。しかもルドルフの最期の滅びの美学的な台詞もこのキャラの最期はこうでないとというお約束パターン。陰険ピエロが最後まで悪あがきして消滅する辺りも、このタイプのキャラの最後はこうでないとというコテコテのお約束です。あの手の陰険キャラの最後の台詞は「そんな」か「嫌だ」でないといけないというのはお決まりです。

 

滅茶苦茶なままパワーで押しきった

 一方でエネルギーを受けたアロウ達は復活。ここで「とことんまでに人頼み」の大元帥が奮起します。ここでまた再び「石破ラブラブ天驚拳!!」です(笑)。登場人物達の顔がクルクルと回るのは「Gガンかい!」と思ってしまいました。いやー、とことんまで熱い。

     
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 結局はアタリーの「神を説得する」が功を奏したということなんでしょうか。アロウの強引な説得が通用してしまった。この後のシュウのいかにもな企み顔がこれまた笑えるんだが。レンに言われるまでもなく、こうなってしまったシュウは誰も止められないのが分かる。そして強引に大団円。本当に滅茶苦茶な話だったんだが、久しぶりに熱くなる作品だった。ラストもなかなか良かったが、20話、21話の神回は忘れられんな。今のアニメに欠けてるのって、このテンションだわな。

 

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