モリアーティの陰謀に巻き込まれるホームズ
毒にも薬にもならない話が2本続いた後の猛烈な毒話です(笑)。
アイリーンが交渉した相手が犯罪卿だと勘付いておきながら、彼女を助けるには残念ながらそれ以外の手がないということを痛感しているホームズ。しかしそれでも彼女を確実に助けられるように犯罪卿との交渉を行う。
もっともこれはウィリアムの完全に想定の範囲内だったようです。彼はホームズがどう出てくるかを完全に読み切った上でアルバートに策を授けてましたね。今回はすべての点でモリアーティの方がホームズを上回っていました。本作では結局はホームズは常にモリアーティの手のひらの上で踊らされているんですよね。
炸裂する腹芸に新たな展開
そしてモリアーティ一行はマイクロフト(マイクロソフトではない)の元に乗り込んで自らの正体と目的を明かした上で直々の交渉。結局はイギリス政府の黙認を取り付ける。それにしても彼らはいわば政府転覆の企みを暴露しているんだが、それに不干渉を決め込むマイクロフトもただ者ではない。あのホームズがあの兄貴には敵わないと感じている模様だが、確かにそれだけのことはある曲者。今回はありとあらゆる人物の腹芸が炸裂しまくっていた回でした。いかにもこの作品らしい。
で、モリアーティ一行に参加することになったアイリーンは女を捨てて、ここで名乗った名がジェームズ・ボンドって・・・オイオイ、伝説のスパイまで登場ですか。もっとも時代はかなり違うようであるが。本当に何でもありだなこの作品。この適当さ、だけど何となくそれもありかなと思わせる強引さがこの話の持ち味。そもそもロペスピエールがホームズ達の先祖なんて話まで出て来ているし。歴史に創作ものを織り交ぜて、それっぽい設定を次々に作り上げるという良い意味でのご都合主義です。
こうなったと言うことは、今後もアイリーンは、ジェームズ・ボンドとして作品に絡むんだろうな。明らかに彼女のキャラって、一エピソードこっきりで消えるようなタイプのキャラでなかったからな。彼女もモリアーティ達のこの国の支配構造をひっくり返す陰謀に荷担していくわけか。そしてホームズもそこで利用されるわけだな。モリアーティ達は最終的には自分達は社会の敵として抹殺されると言っていたが、恐らくその抹殺を行う正義の使者としてホームズが起用されたということか。にしてもとことんモリアーティの手のひらの上で踊らされているホームズとしては、これは面白くなかろう。ホームズの逆襲にも期待。
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