白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

池袋ウエストゲートパーク 第4話「ワルツ・フォー・ベビー」

 うーん、切なさを秘めた話ではあるな。親から見た息子の姿と実の息子の姿にはズレがある。親父さんから見た息子の姿は「少しやんちゃなところはあるが、あれでも結構優しいところがある」だったんだが、周りから見た息子の姿は「気まぐれに暴力をふるいまくるどうしようないクズ」だったという。まあありがちです。親の欲目というやつですね。ましてや父一人子一人で必死で育てたのならそうなるでしょう。

 客観的に見たら、暴力依存でどうしようもなかったクズが、一方的にカップルに絡んで暴力をふるった挙句に女に突き飛ばされてそれが原因で死んでしまったという、ハッキリ言って「自業自得」としか言いようがない状況で、周りの連中の反応も「あのクズが死んでくれてホッとした」というのが本音。何しろ内縁の妻でさえ「ホッとした」が最初の反応のようだから。ちなみにDV加害者が時折優しさを見せるのは、相手を逃がさないための手のようなものとも言います。結局はDV加害者も被害者に依存している部分があるので、被害者を逃がしてはいけないからとのこと。だから大抵の被害者は「ああ見えても、優しいところもあったのです」と大抵言うらしい。

 親の欲目というのは仕方ないもので、大昔にも擁護の余地のない全く殺人(リンチ殺人だったと思う)をしたクズな犯人を、「あの子は昔からちょっとやんちゃなところはあったけど」と表現してしまったダメ親もいました(今だったらネットで袋叩きにされるところ)。親「やんちゃだけど良いところもある子」→世間の評価「この世に存在していることさえが間違いの根っからのクズ」ということはよくありますので。

 

 それにしてもマコトという男は根っからのお節介男のようです。この作品のパターンって、マコトが何らかのいきさつでお節介を焼き、それをタカシに相談、ジーボーイズが乗り出して一件落着ってパターンばかり。ただ今回に関してはマコト自身が、本当に自分のやったことが正解だったのかに疑問を持ってます。親父さんの反応が冷静だったから(あのダメ息子の父親にしては出来た人です)マコトにとっての救いになりましたが、そうでなかったら「余計なことをしてしまった」とマコトにとってもトラウマになりかねない事例。

 それと30分という尺だから仕方ないのかもしれないが、いつも事件解決は極めてあっさりしていて、今回も謎のあるらしき女性がいるなと思っていたら最後に突然自首してきてすべてが解決という「安直な」オチ。まあ事件解決が作品の目的でなく、その過程で描き出す主人公周辺の人間ドラマを見せるのが作品の主眼ですからそうなるんでしょうけど。もっともそこで描き出される人間ドラマはそう深いものでもありませんが。全体的に味付けがライトですね。あの息子がああいうクズな人間に落ちた背景をもう少し描けばさらに深い話になるのですが、まあ30分の話ではそこまで深めるのは無理。だから息子の真の姿を知らなかった痛い親父さんの話ってだけになってしまっている。あのクズ息子が内心に抱えていた寂しさとか悲しさとかも滲んできたら、もう少し深みが出たんだが、まあそれだと尺が今の倍は必要だし、作者もそこまで描き切る気はなかったんだろう。