白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

100万の命の上に俺は立っている 第3話「あたしを助けて」

またも闇を抱えたキャラが参入

 新キャラが登場。こうやってクエストのたびにキャラが増える構造になっているようですね。この世界。で、そのたびに主人公がスカウトに行かされるんでしょうか。もしそうならその内にだんだんとキャラが増えて、作品的にはまとまりにくいという難点になる可能性あり。またキャラが増えると必然的にパーティー内での派閥的なものが出来てくるので、対人スキルに難のある主人公にはしんどい話になりそう。

     
この作品も原作コミックがあるようで

 で、このキャラが痛いオタ女。明らかにえげつないいじめを受けてましたが、本人がその相手に依存性があり、ああいう関係でありながらも関係を断てないというかなり深刻な状況。女子のイジメにはこういう「いじめを行っている相手が一番の友達」ってパターンは少なくないと聞きます。ありがちですが、本人の主体性が弱いために仮初の人間関係に依存してしまうというタイプ。将来的にはDV男のカモにされる可能性もあるタイプです。

 その彼女が憧れた女王様キャラですが、どうやら彼女にも深い闇があるようで、その一端が垣間見えていましたね。状況が良く分からなかったんですが、彼女は「ああ、あの家の」の一言で周りが頷くような問題のある家庭の出身で、さらにそこに手を差し伸べてくれた少女は死んだか殺されたかどちらかのようですね。「顔が不細工という理由で」云々言われていたところを見ると、イジメによる自殺もしくはイジメが高じて殺害されたってところでしょうか。そしてその体験から、彼女は「ああなりたくない」という世の中に対する怒りと恐怖から、誰にも手を出されない今日の女王様キャラを作り上げたと。しかしそこには脆さも秘めてますから、何かきっかけがあった時に大崩壊を起こす危険を一番秘めているようでもある。

 

何だかんだ一番活躍している主人公ですが・・・

 そしてやはり闇を心に持っている主人公ですが、その一方で「意外と使える」という一面を出しつつある。確かにレベル低すぎる魔法使いスキルや体力が決定的に欠けている者の戦士スキルよりは、彼の調理人スキルが今は一番役立っている。にしても、炎魔法一発使おうとしただけで魔力を使い果たしてしかも命を落とす魔法使いって、どうやってレベル上げができるんだ?

 どうも各キャラが必要以上に闇を抱えているのが突き刺さるんですが、それをのぞけば普通の異世界ファンタジーになってしまうんで、それがこの作品っていうか作者の一番の特徴なんだろうな。ただその闇がいちいち何かのたびに出てくるのが鬱陶しくはある。最終的に全員が作品での経験を通してその闇を克服していくという展開に持っていくのなら、成長物語として綺麗な展開になるが、そういうところを目指しているかは疑問。こういう問題を抉り出すがそのまま放置ってのも今どきの作品にはありがちなので。

 今のところ主人公キャラが一番成長していて、そもそも大幅に欠けていた対人スキルが若干向上傾向にあるが、まあそう単純に一筋縄に行く話でないだろうな。どこかで主人公が突然に暗黒落ちして、しばらくウジウジと闇展開になる可能性もこの作品ならあり得そう。あまりそういうことをやり始めて不快に感じるようになれば脱落かな。ちなみに心の闇なんて私にもあり(私も学生時代にイジメを受けた経験はあります)、それはこの年になっても完全には回復はしておらず、いまだに傷口の瘡蓋が時々はがれて鮮血が噴き出すことがありますので。