白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

異世界薬局 第12話「彼が治せなかったもの」

馬鹿は治しようがない

 「彼が治せなかったもの」。結論からいえばいかれたオツムでしょうか。結局は思っていた以上にマッドな相手でした。普通はマッドサイエンティストといえば、真理の探究のために道徳を逸脱するような輩ですが、カミュがやったことといえば単なる殺戮であって、真理を求めようという姿勢さえなかったような気がする。いくらそれでファルマに「お前も分かるだろう」と言っても、ファルマにしたら「は?!」だわな。

   
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 そのせいか、ファルマもカミュにトドメを刺すのに何の躊躇いも見せてませんでした。シャルロットを傷付けられて逆上していたのものありますが、もう「てめえら人間じゃねえ、叩ききってやる」の境地になっていたようです。人間を救う医師でも、あまりにひどすぎる外道相手には刀をぶん回して処分するという。ファルマは通常は「どんな人でも救う」と言っているんですが、カミュはマッド過ぎて人間の域を出てしまっていた。と言うわけで「彼でさえ治せなかったもの」でもあります。馬鹿は死ななきゃ仕方ないという。

 もう言ってることが滅茶苦茶でした。「どうせ人間は死ぬんだから同じ」って。「どうせまた神竜が現れて世界がピンチになるんだから、この世界を滅ぼして輪廻を断つのが救済」なんて言っていたぶっ飛び賢者様もいましたが、あの次元ですな。「生き残った者だけで新たな世界を」とかいうコロナは茶番論者みたいなこともサラッと言ってたが、実際は殺戮に狂ってるだけのようだし。

 

 

大団円だが、終わってみたら何もない作品だった

 で、そのマッドサイエンティストを葬って目出度し目出度しという落ち。あのカビ研究のおばさん研究者が陣頭に立ってストレプトマイシンの量産体制も進んでいるようだし、これから帝国では疫病での死者は大幅に減ることが期待できるってオチだな。今回の事件には背景があるのかと思っていたら、結局はマッドな男の暴走で、あの騎士たち自身は脅迫されてやむなくしたがっていたというオチのようだし。うーん、第二期への含みは一切残さない潔い最後だな(笑)。もっともどう考えてもこの作品に第二期の余地はないように思うが。

 まああまりに何もが順風満帆で盛り上がりも何もない作品だったから、とりあえず最後に大事件持ってきましたってところだろうな。で、一応主人公に戦闘らしきものもさせてみましたと。だけど想像していた以上に底が浅い事件だった。それに主人公の無双が本人の能力だけでなく、社会的背景まで含めて無双すぎなんだよな。主人公が一声かけたら国を動かせるレベルなんだから。

 終わってみたら結局のところ毒にも薬にもならない作品だが、嫌味が無いのが一番の救いか。さすがに「スライム倒して」とか「チート薬師」ほどには腑抜けてなかったし。ただこれという魅力も最後まで結局は何もなかったな。とりあえず最後まで私をギリギリ付き合わせる程度のレベルはあったが。

 

 

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