白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

勇者、辞めます 第11話「勇者の資格」

レオの苦悩を終わらせるために本気を出す仲間たち

 うん、なかなか良い。今まで小出しにしてきていたレオの「人類を守る」という使命に支配された勇者としての苦悩をまとめて語ってきた。内容的には今までの繰り返しなんだが、今回レオが本当に人類に危害を加えることをやろうとしていたというところまで描いていた。確かにあそこまでやってしまったのなら、自身の行いに狂気と恐怖を抱いて、何とか自身を抹殺するしかないと考えるのもまあ自然につながる。それにしてもやっぱりレオは自殺を封じられてるんだろうな。通常なら最初にそれを考えて一発だろうから。

     
コミック原作が発売されています

 エキドナが渾身の一発を放ったとき、レオは明らかにかわさずにそれを真っ正面から受けた。その時に言った言葉は「ありがとう」だろうと思ったが、やっぱりそうだったか。そしてエキドナもレオの意志をハッキリと感じたんだろう。レオを救うためにレオを倒すということを決意した瞬間だった。あのレオの悲しさがビンビンとエキドナに伝わっている様子などはなかなか良い。結局エキドナはレオの能力を封じるだけで精一杯だから、レオに対するトドメを刺すのは四天王の役割となる。レオはそれを自ら望み、四天王も覚悟を決めてレオに斬りつけたようです。レオの苦悩を皆が察したというところでしょう。

 

 

とりあえず描ききったので後はラストだけか

 結局は今回一話使って、話の進展としては数分の内容しかない。後は延々とレオの今までの苦悩のネタばらしという内容。まあ今までにチラホラ語っていた内容を統合してさらに深めただけなので、くどいという気もしないではないですが、まあ手続きとしては必要というところでしょうか。今までそれとなくレオの苦悩は描いてましたが、今回はその苦悩だけでなくて、そこから端を発して押し寄せてきた狂気に近いものまで描いてましたから。それがないと「そんなに自身の存在意義って必要か?」の一言で終わっちまう気もするから。もっともエキドナもそれとなく言っていたし、レオもそれとなく感じていたのは、結局はお互いに認め合って信頼できる仲間がいなかったというのも大きい。まあレオの場合は、もしそのような仲間が人間に出来ても、相手はすぐに寿命で死んでしまうってこともあるが。

 と言うわけで、レオは初めて魔王軍の連中を仲間と感じ、彼らもレオのことを信頼し、だからこそ彼の苦悩を終わらせようと尽力したことになる。レオが魔王軍加入のための面接を受けた形になっていたが、実はレオの側が彼らが自身の命(だけでなくて人類の未来も)を託するに値する連中であるかを面接していたというのは興味深かったな。だからエキドナの本音を聞いたときに強烈に動揺していた(というか、あれは感動していたんだろうな)ということか。

 まあいろいろ回り道はありましたけど、ここまではまず描ききったと思いますよ。この後は普通にレオが心臓を彼らに託して悲しく終わるという展開と、ご都合主義炸裂の大どんでん返し(結局はレオは死ななくて元の木阿弥)って展開の両方があり得るが、まあどちらを取ったとしてもまとまるでしょう。話として綺麗にまとまるのは前者だが、たとえ後者を取ったとしても「この作品らしいよな」でまとまる。

 

 

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