白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

勇者、辞めます 第10話「世界を滅ぼしてもでも、世界を救おう」

レオの真意と戸惑う四天王達

 うん、なかなか緊迫してきた。最初のノホホンとした空気を吹き飛ばすこの展開なかなか良い。レオの心の叫びが伝わってくるような展開。シュティーナが明らかに気付いていたが、レオの本心は「俺が世界を滅ぼそうとするようになる前に、お前達が俺を滅ぼしてくれ」という魂の叫び。それが悲痛に聞こえてくる。レオも魔王軍の面々がなかなか本気になりにくいことは分かっているからこそ、殊更に露悪的に振る舞おうとしているのもあからさまなんだが、シュティーナが言っていたように「嘘をつくのが下手」ではある。

     
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 結局のところ、やはりレオは自ら命を絶つことは出来ない制約を受けているような感じですね。散々人類を救うために戦ってきたが、その一方で戦いがないと自分の存在意義がないことに悩み、またその悩みから自身が暴走して災厄そのものになってしまうことを恐れ。そして自分を葬ってくれる可能性のある存在として魔王軍に期待したと。ことさらに彼らのことを「勇者」と呼んでましたからね。つまりは自分は世界に害悪を与えようとした悪として葬り去られるつもりでいる。もっとも明らかに本気出しているとは思えないんですが(本気出していたらエドヴァルトやメルネスを葬るのも可能だったはず)、無限成長のせいでそれでもほとんど無敵状態という。

 

 

エキドナの最終秘術が功を奏するかどうか

 そしてエキドナはかつて先代魔王(親父のようですね)から引き継いだという奥義を発動させる。すべての魔力と引き替えに勇者の能力を一時的に封じるというようなことを言っていたが、それでレオの無限成長を封印できるんだろうか。もっともそれが出来たところでエキドナはそれで力尽きるだろうから、誰がレオにトドメを刺すのか。魔力を失ったエキドナが根性で剣で貫くってところかな。

 それにしてもレオの苦悩を描きながら、さり気に四天王達の成長も描いていたのもお約束だが上手いところだな。エドヴァルドの「尊敬する友だからこそ倒さねば」というのはいかにもらしいし、あれだけ他人に無関心だったメルネスがレオの心中を察しているってのも非常に良い。またレオに甘える一方だったリリがけなげにも自覚を持ったことなども。シュティーナのエキドナとの長い付き合いを思わせるやりとりとか、レオに対しての熱い言葉なんかも。あれなんて考えようによってラブコールのようにさえ思えるから。

 ただこの作品の場合、ここで四天王達が涙でレオを倒して賢者の石を手に入れましたってオチになるかな? 作品の雰囲気からしたら最後の最後で大ドンデンオチもありそうな気もする。おい、あれだけに必死になってそれは一体何だったんだっていう。

 

 

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