白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

勇者、辞めます 第7話「良い戦士が良い上司になるとは限らない」

「良いプレイヤーが良いマネージャーになるとは限らない」ってビジネス組織論の基本中の基本ですよね。

 今回は上司が真面目な努力家であり、さらには能力が高いが故に部下に対する要求水準が高すぎて部下が付いていけないというパターン。これってどこの組織でもありがちです。とかく自分が何でも出来て、また問題も独力で解決してきた人は、それが出来ない部下を無能だとか努力不足と決めつける場合があります。ビジネス人事術の基本「良いプレイヤーが優秀なマネージャーになるとは限らない(むしろ逆の方が実は多い)」という話。しかし基本的に組織ではプレイヤーで実績を上げた者がマネージャーに起用されるのでこの問題は発生しがち。部下は上司の過大すぎる要求につぶれてしまい、当の上司は勝手が違う仕事に戸惑ってついには潰れてしまうという悲劇が多々。

     
コミック原作が発売されています

 私も身近でよく見てます。一人の平研究員だった時には極めて優秀で実績も上げていた人なのに、その人が出世してマネージャーになった途端に組織がギクシャクして部下は脱落で回らなくなる何て例を。挙げ句にあまりに回らないものだから、上司がマネージメント放り出して自身が前線に立ってしまったり・・・。逆にプレイヤーとしては使い物にならないが、マネージャーの立場になった途端に才能を発揮するヤン・ウェンリーのような人もいるんだろうけど、そんな人は余程の幸運がない限り、プレイヤーとして実績を上げられない時点で無能として切り捨てられるのでマネージャーにはなれません。ヤンにしたって、上官が逃げ出すとか、戦闘中に幹部連中が重傷を負って自分が指揮する羽目になるとかいう超ご都合主義な幸運がなければ頭角を現すことなんてなかったろうし。

 で、そういう人って回りが忠告しても、なかなか納得しないんですよね。それは自分自身の能力に自信を持っているし、また自分はそれで確固たる成功を収めたという実績もあるんで。だけど部下は様々だから、同じやり方を部下にしていても無理だし、またそれで成功は出来ないんですよ。失敗したやり方を真似したら確実に失敗するけど。結局は成功するには成功した人の真似をするんでなく、失敗した人の失敗した原因を分析して、それを辿らないようにするのが一番なんです。だからビジネスで成功した人の講演なんて屁の役にも立たないけど、日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」は非常に参考になるという理由なんですよね。

 

 

レオの策略は成功したが、それにしても彼のビジネススキルはどこから?

 などと柄にもなくビジネス解説みたいなことをしてしまった・・・。しかし、ビジネスで頭角を現すどころか、押しも押されぬロートル一直線の私がこんなこと偉そうに言っても説得力は皆無だわな。まあせいぜい私が後輩にアドバイスできるなら、しくじり先生として「俺の真似はするな」とぐらいしか言えんわ(笑)。まあしくじり先生として一言言っとくと、ビジネスの世界は騙すか騙されるかのところがあるので、真っ正直すぎるのはバカと同じという現実はあるということ。人を意図的に陥れるのは問題外だが、自身を良く見せるとか、自身の実績を盛る、さらには強者にゴマをするなどの「見苦しい」と思える行動もやっぱり必要と言うこと。ここでつまらぬプライドを持つと失敗する。

 で、作品に戻ると、やはり自身に絶大な自信を持っている上に基本脳筋のエドヴァルトに理屈で説いても不可能と、メルネスは一計を案じて過去の発掘兵器を持ち出して、そこでエドヴァルトに「知らないことを教えるのも上司の役目」ということを実践的に悟らせたと。それにしてもここまでの内容って、やっぱりどことなく「実践ビジネス講座」みたいなんだが、そもそも戦闘用改造人間として作られてずっと戦ってきたわけで、会社員とかの経験がないはずのレオがなんでそんなスキル持っているかの方が本作の一番の謎なんですが。

 そしてエキドナ様はどさくさに紛れて日頃の鬱憤晴らしをタップリとしたと。やっぱりああいうところは基本的には魔王様だな。メルネスは「鬱憤晴らしなんだから放っておけば良い」とエキドナの心中を察する発言をしていたが、確かにリリが言う通り「なんか変わった」なんだな。前回のレオの授業が効果を上げているということ。こうやって魔王軍内の意識改革を実行していったレオだが、一体本当に何を目指しているのやら。その辺りは次回に断片が登場するのかな?

 

 

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