デルーニオに乗り込んで見事な詐欺師ぶりのウエイン
ソルジェスト王国の戦争の大義名分を奪うためにシルジスとの会談に臨むウエインだが、元よりシルジスはナトラに嫌がらせすることが目的であるから、交渉が成功するはずもない。ゼノヴィアの持ちかけた大胆な提案は、まとも相手だった十分に動く内容であるが、そもそも相手がまともでないのだから通用しない。まあこの辺りがゼノヴィアの限界。ウエインもそこまでは大体予想通りなので、そこから計算ずくの悪魔の交渉へ。
王国の民衆80万人をそのまま全員難民にしてしまうなんて乱暴な話はウエインでないと絶対しないところ。自国民と同じぐらいの数の難民なんて抱え込んだら、デルーニオでなくても破綻は必至。しかしソルジェストも国民空っぽの北の大地だけ手に入れても何のメリットもないから、ソルジェストもそんなことはさせるわけはないのだが、シルジスは80万人の難民の衝撃で頭が回らなくなっている。しかも「こいつならホントにやるかも知れない」という猜疑心は最初から持っているし、またミールタースでのフラーニャの実績も大きく効いている。フラーニャは他国の民衆3万を統率することが出来たんだから、自国の民衆だったら80万でも統率できるかもというところは考えが及ぶだろう。
とにかく計算ずくでシルジスの判断の時間を奪っているという見事な催眠商法。今から30分以内に電話するとさらに高枝斬りばさみが付いてきますってのと変わらない。こういうテンポに乗せられると人間は極端に判断力が落ちるから。典型的な振り込め詐欺のパターンでもある。結局はウエインって天性の詐欺師なんですよね。
そしてまんまと戦馬鹿をわなに嵌めて同盟締結
一方のグリューエルは典型的な戦馬鹿だから、血湧き肉躍る戦が出来ればそれで十分という奴。敵が抵抗するようなら見事にそこに引き込まれる。もっとも自身も陣頭で剣振り回す意外なマッチョタイプのようだが。そういう性格まですべて読み切った上で、デルーニオ軍と挟み撃ちしたらデルーニオ軍に迫ると読んで罠を仕掛けていたと。で、やっぱり一番美味しいところを決めるのはニニムの役割。だけど最初からグリューエルを殺す気は毛頭ないのが明らかですよね。実際のところ、西側諸国の連中の中で、クセは極めて強いものの一番まともに話が通じるのがグリューエルですから。今後あの変態ドSお姉様なんかと渡り合おうと思うと、やはり同盟国は必須。
物語はまだまだ続くというところだが、とりあえず話に一段落が付いたところでアニメ終了という運び。もし好評なら次期もって考えかな。だけど悪くもないが特にこれという特徴もないな。今時転生設定とかゲーム世界設定がないのはむしろ珍しいが、ただそれだけで主人公は実質的にチートな現代人設定だから、内容的にはそれらの作品とさして違いはない。そもそも最近は転生設定とかゲーム世界設定が全く意味をなしていない作品も多いから。リゼロなんかは転生設定あってこその作品だったが、転スラなんかも別に転生設定は大して生きてないし、最果てのパラディンなんてそもそも転生設定は不要だった。ゲーム世界設定にしても、今期のリアデイルと賢者の弟子なんて全く何の意味も持ってなかったからな。
結局はこれという決定的な特徴もないまま、大量の類似の作品の中に埋もれてしまう作品でしかないな。それにしてもこの世界も、これだけほとんど同じ作品をよくも量産してくるもんだ。この数年、こういうタイプの作品ばかり目にしていて、やはりオワコン感が半端ない。テンプレートがカッチリと定まっているから誰でも書けて楽なんだろうな。実際テンプレ通りにキャラ配置したら、私でも書けそうだもの。まあ既に「転生したら勇者でも賢者でもなくてタダのパンピーだった」って作品のプロットは以前に書いたことがあるが。
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