白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

東京24区 第9話「シルバーソルト」

過去話で怒濤の説明とつじつま合わせが来ました

 主人公のRGB不在でひたすら過去話ばかりやっていたが、ここに来て怒濤のように「この世界はこういう世界だったんです」という説明になったな。これまでチラホラと出ていた香苗システムの話とか、コウキの親父の豪理の考えとか、黒葛川の過去と豪理との関わりとかすべてひっくるめて怒濤の説明。要はすべての鍵として香苗の存在があったということか。

   
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 ランの師匠ことゼロスが、元々香苗と同じ研究をしていたということは以前にサラッと出てましたが、要は香苗は事故・犯罪への対処システムのようなものを研究していたのだが、そのシステムが香苗、黒葛川、ゼロスが事故に巻き込まれそうになった時に誰を犠牲にするかの計算をして、結果としてゼロスを見捨てるという判断を行ったということ。で、彼はその事故のせいで失語症になって研究から離れることになったが、それがキッカケでグラフティの才能を開花させて今日のゼロスに至っているという話ですな。

 そして豪理は香苗の研究に着目してそれを経済的に支援していたのだが、香苗はこの事故が切っ掛けに「機械が命に軽重を付けて、それに基づいて一番軽いと判断された命を切り捨てる」ということに矛盾を感じて、最終的にはシステムの開発を止めて教師になるということのようです。結局この作品に最初から出てきた「トロッコ問題」が鍵になっているらしいと言うことがハッキリ出ていますね。全員を助けると言うことが不可能だと判断した時に、どれを切り捨てるべき命と決めるなんてことができるのかという話。

 

 

トロッコ問題への対処が話の核でしょうか?

 その間に豪理は教育に乗り出していたのだが、香苗が犯罪に巻き込まれて非業の死を遂げたことをキッカケに、香苗システムを完成させたらすべての犯罪を抑止できてこのような悲劇を防ぐことが出来るという妄執に取り付かれて、システム完成のために暴走したと。そして黒葛川は香苗に対しての尊敬(というよりも崇拝とか愛ってレベルだが)と彼女の最後にアスミとコウキのことを託されたこともあって豪理と行動を共にしていると。ただ香苗システムに根本的な問題がある(やはり「トロッコ問題」に纏わる基本では)ということが了解しており、それを誤魔化すために仮面の反政府テロリストを装っていたということか。

 そして事故死したアスミはシステムの核となる生体脳として導入されたのだが、やはりシステムが根本的に持っているトロッコ問題への対処という矛盾に突き当たった時に、誰かを見捨てるという行動を取ることが出来なくて、その対処を信頼を持っているRGBにほぼ無意識に頼ったのがあの結果と言うことのようです。

 と言うわけで主人公達不在であっという間に話の辻褄を合わせてきたんですが、これでようやく話の全貌が見えてきたのだが、「で、どうするの?」ってところですね。結局RGBの3人のトロッコ問題への対応もバラバラで、コウキは多数を助けるには少数を見捨てることも仕方ないというスタンスだし、ランはとりあえず目の前の者を助けようとしているし、シュウタは出来るか出来るかは抜きにしてとにかく犠牲は1人も出したくないという典型的な正義のヒーロー決断。どれもそれなりに矛盾を持っているので折り合いが付くのか?

 

 

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