白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

現実主義勇者の王国再建記 第11話「李代桃僵」

呆気なく終結する内戦

 予想以上に簡単に内乱に決着をつけちまったな。まあ後1話か多くて2話となると、そのペースで展開しないと無理か。ちなみにタイトルの「李代桃僵」というのは、桃の木を守るためにスモモ(李)の木を犠牲にするという意味だとか。本来は軍に上中下がある場合に、敵の上軍にこちら下軍を当て、中軍には上軍を、下軍には中軍を当てれば下軍は犠牲になるが全体ではこっちが勝てるという類いの軍事戦略のことらしい。だけど今回を見ているとそういう意味ではなく、王国を守るためにカーマインを犠牲にするって意味のように見える。どうもこの作品、時々副題が本来の意味と微妙ズレているように感じるのだが、今回もどうもしっくりこないな。

     
Blu-rayは発売がある模様

 そして案の定、カーマイン公は本音では忠義の人だったか。自身が反乱の旗頭となることで不平貴族を集合させた上で一網打尽にするという。で、その計略を彼の腹心がソーマに告げたのが大分前に登場したもののその後全く出てこなかった伏線と。うん、これで確かに話はつながった。

 まあ確かに急進的な改革を進めようとする場合、一番問題になるのは抵抗勢力の問題。ましてや今まで国を犠牲にしつつ、随分と溜め込んでいた連中がいるわけだから、そういう連中をどうやって一掃するかは大事だわな。カーマイン公はそのために自ら反逆者として身を捧げようと考えていたか。まあ大体予想の付いた範囲ではある。

 

 

結局はカストールは単なるいきがった厨二ジジイ?

 ただそうなったら、本気で反乱を進めていたカストールこそ良い面の皮だわな。彼にしたところで本音でソーマにそう強烈に叛意を抱いていたわけでなく、カーマイン公があくまで叛逆の立場に立ったからそれに従ったという面が強いから。だからこそ対応がどことなく中途半端になった感がある。にしても決着をつけるのにアイーシャがソーマの代わりに戦うのはともかくとして、そこに姫様まで突然に参戦したのは卑怯と言えば卑怯なんだが、カストールはそのことは何とも言わなかったな。叛逆の意志が徹底していない証拠ではある。どうも彼にしてもその本音は「自分も倒せないような王には従えない」って雰囲気が感じられる。

 それにしても唐突にまた登場するエグいアイテムが服従の首輪ですか。首輪の主に逆らうと首チョッパするらしい。まあ何だかんだでご都合主義アイテムが次々登場する世界設定でもあります。実際のところはそんなもの使わなくても彼等がもう叛逆する意志なんかないだろうと思われるが、やはりそこは反逆者に対しての示しが必要なんだろうな。ソーマは基本的に徳を持って国を治めているが、やはり統治のためには場合によっては毅然として冷徹なことを行うのも必要だから。特に本人が言っていたように、情に駆られて恣意的に法を曲げることはトップとしては不可。もっともいずれは何らかの功績を理由にして、彼等の戒めは解くことになると見ますが。それにやっぱりカルラは側室候補の気はする。

 

 

アミドニアの馬鹿王の処分は?

 そして一番の道化は、目論見外れてエルフリーデンの内乱は呆気なく集結して、外に遠征に来ている間に本拠を落とされたアミドニアの馬鹿王。その精鋭はボコボコにされて、無理やり領民を軍に加えて数だけ揃えたところでもう結果は見えている。ここは普通に考えたら降伏勧告するだろうが、それに乗るだけの頭があるかどうかだ。ソーマとしてはここでアミドニア軍を壊滅させて馬鹿王の首を取るのは簡単だが、それをやるとさらに深い遺恨を残すことになる。望ましい決着は、屈服させて同盟国に加えること。妥当な線としてはあの馬鹿王を退位させるのを条件に講和かな(実質的にはアミドニアの降伏)。そもそもアミドニアがここまでエルフリーデンに遺恨を抱いているのは、かつて領土を奪われたことで困窮したことが原因なんだから、共存共栄の道を打ち出したら、最初は信用ならなくてもだんだんと完全にシンパとして取り込むことは可能。その際はやはりあの計算高そうな王女が鍵になるんだろう。あの馬鹿王はともかくとして、その息子については損得の計算ぐらいは出来そうだ。息子が王として仕切って、横で王女が目を光らせていたら何とかなりそう。後は馬鹿王が妙な動きをしないかだけ監視しておけば。

 それにしてもアミドアの件はドタバタと「ナレ敗戦」だけで終わらせているってのは、やっぱり先の展開を急ぐな。もう第11話だから、次回で一応決着をつけるためか。この作品って元々からこういう戦闘をメインにしていないから、そこに力を入れないのは理解できるが、それにしてもドタバタしすぎだな。今から思えば随分と無駄な回もあったのだが、全体の配分がやや悪い。どうも今期は「精霊幻想記」とか「月が導く異世界道中」とか先の進行だけをドタバタと急いで、内容描写が薄い作品が目立つ。原作付きの弊害かな。視聴者が原作を了解しているのを前提として作っているので、原作に登場するシーンを見せることだけを主眼にしてしまい、作品自体がドラマとして成立することを考えていない。だからもっとオリジナル作品を増やさないとダメと私は言ってるんだが。それに原作付きでももっと内容を練っていたらいくらでも表現方法はある。

 

 

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