白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

現実主義勇者の王国再建記 第3話「臣をして忠臣たらしむことなかれ」

どうやら作者の元ネタは中国もののようで

 タイトルはこの前に「願わくば臣をして良臣たらしめよ。」と付くらしい。十八史略の言葉で君臣が合力して国を栄えさせたら良臣と後世で評価される。それに対して君主の過ちを諫めて処刑され、後に国が滅んだら忠臣と評価される。と言う意味らしい。つまりは家臣を忠臣にしてしまうようなアホな政治をするなと君主を諫めた言葉らしい。そう言えば忠臣蔵も浅野内匠頭が馬鹿殿だったせいで起こった事件だったな。

     
Blu-rayは発売がある模様

 と言うわけで人材登用に関する話というよりは君主としての心得らしい。今回は人材登用の話になってましたが、あの大食いを評価して採用したというのはまさに「先づ隗より始めよ」のエピソードでした。これも十八史略のエピソードで、人材を登用したいがうまくいかない王様に対して、隗という人物がまず自分を登用して優遇してくれ、そうすると「あいつでもあれだけ厚遇されるのなら自分ならもっと厚遇されるはずだ」と思った優秀な人材が全国から集まってくるといって、王様がその通りにしたら実際に優秀な人材が続々と集まったというエピソードです。

 以前も曹操の人材募集の話が出ていたし、結局は作者のネタ元が中国の歴史物ってのが良く分かる。まあそれって、典型的な今時のオタクのホームグランドですが。このジャンルは私も昔にかなり読んでますから、大抵のネタは対応出来ますよ(笑)。まあ史記と十八史略と三国志は基本中の基本ですね。また三国志なんかは、何で読んでいるかでまたランクがある。初心者は横山光輝の漫画で読む。中級者は吉川英治の小説で読む。上級者は中国版の「三国志演義」を読むんですが、私はこれらすべてだけでなくて、正式な歴史書の「三国志」も読んでますので。時々、偉そうに経営云々とかで講演やっている人物が、三国志演義にはない吉川英治がオリジナルで加えたエピソードを出して来たりして、知識のほどがバレてしまうなんていう残念なことが起こったりするんですが(よく出てくるのが劉備の母が茶壺を投げ捨てたという話)。

 

なかなか有為の人材が集まった模様ですが

 創作をする人間は、中国ものをベースに後は西洋ものはクラウゼヴィッツ辺りを少し加えて、それにマキャベリ辺りをたまにチラチラ出したら一端に見えます(笑)。実際に田中芳樹なんかもそんな感じだったし。まあこの流れで行ったら次に出て来そうなのは孟嘗君の鶏鳴狗盗辺りか。実際に今回の人材募集の内容見てたらもろに鶏鳴狗盗レベルだし。

 だけどあの「イシヅカ」の称号をもらったあの大食い、実際に使うとしたらその食べ物の知識を活用して国の名物料理とか土産物菓子を開発させるってとこかな。歌姫もいたし、国立劇場を創設して周辺国から観光客を集めるという観光立国の方向を一つの収入源として考えますね。今回の人材募集を見ていたら、黒衣の宰相は今後大活躍してくれるんだろうが、ダークエルフに対して恩を売るのも大きいだろうし、いろいろと収穫はありそうですね。で、最後の獣人の子供の話からストーリーがまた展開するんだろう。ちなみに動物の言葉が分かるとなったら、動物を使っての諜報活動なんかができるかな。

 ただああやって市井から有為の人材を集めて重用するということを行っていると、大抵は特権階級である王侯貴族の馬鹿共が不満を募らせてその内に反乱したりするものなんです。この辺りも中国古典ものでは定番なんで(急進的な改革を行った宰相などは、大抵はそれで粛正されてしまう)、当然ながら作者もそれは知っているはず。この作品ではその辺りの問題は起こるのか、それとも有耶無耶で終わるのか。まあ当の前王様自身がさっさと王位を譲ってのうのうとしてるぐらいな人畜無害な人物だから、王侯貴族連中にもそこまで毒の強い奴はいないって話もあり得る。

 

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