白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

86-エイティシックス- 第4話「本当の名前を」

立ち上がるヒロインですが、どう考えても荊の道です

 立場の違いからのどうしても越えられない心理的壁を痛感してうちひしがれたヒロインですが、彼女が再び自分自身での行動を開始するのが今回。

     
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 彼女自身の行動は善意に端を発しているのは間違いないのだが、実はその中に現実に対する根本的な認識の甘さや自己満足の偽善のようなものが含まれていることを今回あからさまに示されたわけ。これは彼女にとっては非常に辛いことであるはずだが、あえてそこから逃げずに正面から立ち向かおうとしているのが彼女の強いところ。

 相手の名前さえ認識していないというのはある意味、確かに相手を人間扱いしていないという象徴である。名前でなくて番号やコードで呼ぶことで、相手を人間でない消耗品として扱っているということになる。まあそれはハンドラーにとっての精神的負担を避けるという意味があるのは確かに間違いない。相手を人間として認識した上で使い捨てにする指示を飛ばせるようなものは、その時点で人間として壊れているようなものだから。葛藤を避けようとしたら「あれは人間ではなくてただの使い捨ての部品だ」と考えるようになる。しかしヒロインはその体制に真っ向から疑問を感じて何とかしたいという問題意識を持っている。だけどそれは、彼女自身の地位をも脅かす危ない考えのような気がするが。処世術としては友達が言っていたことの方が正解ではある。

 

ただ相変わらず社会の根本構造のところに疑問がつきまとう

 どうも彼女の父親の影響を濃厚に受けているようだが、その父親にしても友人である上官が言っていたように、現実を知らずに甘く考えていたところがあるのは間違いない。

 もっともこの体制に矛盾や疑問を感じたのは彼女だけでなく、以前にも自ら前線に出向いた指揮官がいたらしい話が出ていました。しかし結局はそういう者は早く死ぬことになってしまう。彼女がそうなる危険をそろそろ回りが感じ始めているというところのようである。

 しかしやっぱりこの社会の根本のところが分からないな。ここまで理不尽な状況におかれて、86区の連中が戦い続けるわけが。彼ら自身が言うまでもなく「好き好んで戦っているわけではない」ようだし、例えば傭兵のように戦果を上げると莫大な褒賞があって、将来の贅沢な生活が保障されているってようでもなさそう。最終的には消耗品として命を落とすまで戦わされるのが現状だとしたら、なぜその矛盾に対する怒りが壁の中の連中に対して向かわないのか? 本来ならハンドラーに対して嫌みを垂れているなんて次元でなく、とっくの昔に武装蜂起や最低限でもサボタージュぐらい起こって然りなんだが、それをさせないメカニズムは何があるか? 最終的にこの作品は中途で終わりそうな気配だが、せめてその辺りのメカニズムぐらいは説明があるんだろうか?

 

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