白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

キングダム 第60巻

李信は・・・出番がほとんどありません

 見事に将軍になって李信へと進化した主人公の信ですが、本巻では趙を相手に大活躍・・・しません。というか、5,6ページほどしか登場しません。この作品の主人公って誰だったっけ?

     
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 李牧様は見事に馬鹿王のせいで前線から遠ざけられてしまったのですが、まああの馬鹿王が秦を相手にいつまでも食い止めるのは無理だろうと読んで、その時になったらどうせお呼びがかかるだろうと一旦は司馬尚のいる青歌に身を寄せることにします。史実では李牧と共に趙の最後を支えるべく奮戦するのですが、李牧は結局は馬鹿王に処刑され、司馬尚も罷免されてこれで完全に趙が詰みます。というわけで青歌で専守防衛に務めていた司馬尚ですが、無理矢理に歴史の中に巻き込まれることになりそうです。

 一方の馬鹿王の下の趙軍ですが、意外に善戦しており戦線は硬直。郭開が思ったよりもやると思わせておいて、実はそれはすべて悉く握りつぶしていた李牧の進言を利用しているという仕掛け。まあいずれカンニングペーパーが切れたら李牧を呼ばざるをえなくなるでしょう。

 

そして曲者呂不韋は曲者らしく史実無視して格好良く退場

 で、呂不韋退場。史実では流されたもののそこで派手に食客を集めたりしていたから、始皇帝から「お前そろそろ死ね」と命じられて死ぬんだが、さすがにこの作品は政にそんなダークなことをさせたくなかったのか、なんと政が密かに呂不韋と直談判に出向くという大胆な歴史捏造。そしてその政に対して「お前は優しすぎるのが唯一の弱点になるぞ」とアドバイスしてから、替え玉に自殺させて逃走というあり得ない歴史捏造(笑)。どうやら隠棲して始皇帝の行く末を見守ろうという腹らしい。なかなかに最後まで大者感を漂わす扱いになっていました。なお実際の始皇帝は、ここに登場する政と違って歴史に残るぐらいの酷薄な皇帝ですから、呂不韋の心配なんて無用なんですが。

 

ストーリーはいきなり楚との戦いへ

 そして趙の戦線が硬直した秦では総司令が打開のための奇策を打つ。それが魏と同盟するというもの。なんでこの状況で魏と同盟できるんだ? と思うところだが、その条件は楚の支配下である堅城・什虎を同盟して落としてからやるから、3年間同盟しようというもの。かなりの奇策中の奇策だが、確かに魏と同盟できたら魏との国境線に張り付けている兵力を趙に投入できるので戦線の硬直を打破できる。何とも大胆な話。

 というわけで後はひたすら什虎攻略戦の話になって、ここで活躍するのはかなり久方ぶりの登場のバーサーカー蒙武に応援で駆けつけたすっとぼけたファルファル親父こと騰。これに魏からは敵としては非常にいやらしいが、味方としては最高に頼もしい呉鳳明が参戦。軍師の蒙毅は一枚上手の呉鳳明と、戦術も何も力技でぶっ飛ばす親父の蒙武に翻弄される役どころになってしまいます。

 一方の楚軍の方も什虎を守っていた連中が戦好きの変態(ただし腕は確か)に本土から援軍として項翼と白麗という強者が送り込まれているのでかなり強力。

 一癖も二癖もある楚の連中に序盤は押され、アクの強い将軍が並ぶ中でただ一人だけモブ顔だった魏の馬介が案の定序盤で討たれてしまうなど、劣勢に立っていた秦魏連合軍ですが、呉鳳明の大胆な戦略で建て直し、これらが互角に組み合ってと言う展開になってしまったので、しばらくこっちが長引きそう。となると当面は李信の出番はなしか?