白鷺館アニメ棟

放送中のアニメ作品について、アニメファン歴50年以上という鷺が軽いツッコミを交えて与太話

魔女の旅々 第7話「旅人が刻む壁」/「ぶどう踏みの少女」

今までと一転したギャグテイストの強い内容

 今回は今まで雰囲気が一変する話でしたね。共にギャグテイストでしかも後半なんか特に強烈なギャグ。今までのこの作品のヒロイン観まで変えてしまうような。だけど正直なところ私は最初から、この作品はこの方向が正解だと感じているんですよね。後半の作品なんて「もしかしてこの脚本書いたのは私か?」って感じるぐらいいかにも私が考えそうなネタで(笑)。またヒロインが白目剥いたり、引きつりまくったり、暴走したりと実に感情豊かでしたから。今までになくヒロインが生き生きとしている

     
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日常の恥は書き捨てにはできない

 前半の話ですが、以前から何となく実はイレイナが旅に出るきっかけとなった「ニケの冒険譚」のニケってイレイナの母なんではと感じてたんですが、いよいよもってその可能性が高まったような気がしますね。

 で、壁が崩れてしまうような展開に持っていった張本人が実はさり気にサヤってのも、ひっそりと笑えるポイントではあったりする。旅の恥は書き捨てに出来るが、さすがにいつも生活する圏内に記された自身の黒歴史は書き捨てには出来なかったか。まあこれはありがちではある。現代だったら一時の感情にまかせて書いてしまったブログとかtwitterとかに該当するか。だから昔からこういうものは「酔っ払った時には書いてはいけない」って鉄則がある。実際に翌朝に素面に戻ってから読んで青ざめたって話は結構聞く。私は酔っ払ってというのはないが、たまに「暗黒感情に乗っ取られて」とんでもないことを書いてしまうこともある。まあ私はいわゆるインフルエンサーではなくて、単なる一弱小ブロガーなんで、そう大騒ぎになったことはないが(それでも「そんな一面があったんですか?」と常連さんにツッコまれたことはあるが)。

 そして壁が崩れてしまったら、意外にもそこにいた相手は憎むべき相手でもなんでもなく、自分達と同じ喜怒哀楽を持った連中だったと言うことに気づいた。これって国境そのものなんですよね。国境を隔てて睨み合っている時は、この向こうの連中は鬼だ悪魔だ血も涙もないクズだなんて言っているけど、実際には「向こうも人間、こっちも人間」なんです。今回のはそういう寓話にもなってます。また後半のエピソードもそういう要素を含んでるんですよね。

 

テンポの良いギャグからそこはかと漂う古くささ

 後半の話は特にギャグテイストが強く、むしろ今までのこの作品から見ればかなり異色ですね。今まで決して崩しはしなかったヒロインをここまで崩してきた。だけど私自身はこの作品のヒロインは崩してこそ逆に魅力が増すヒロインだって感じてたんですが、今回のでそれがハッキリとしました。

 演出面では非常に古典的と言っても良いです。ロズマリーちゃんが押しかけてきて、イレイナに対して「貧相な魔女」「顔も微妙」「体型なんて子どもみたいというか、まさに子ども」とテンポよく畳みかける上に、その度ごとに引きつりまくるイレイナ。そして高笑いを残して去って行くロズマリーに、怒り心頭で白目剥いてぶどうを踏みまくるイレイナってパターン。かなり古典的なコテコテです。そしてこういう「古い演出」はアニメファンジジイである私にとってはまさに「大好物」。だからこの後半の内容は「もしかして私が作ったのか?」って感じた次第(笑)。ちなみにこのノリって、実はまんま「スレイヤーズ」なんです。特に胸の大きさにこだわっているところなんかもろに。ロズマリーをナーガ、イレイナをリナに置き換えたらまんま。まあ私の感覚もその時代ぐらいってことになりますが。今回なんてヒロインがそのまんま爆熱魔術師に見えてきましたから。

 そして最後は酔っ払ったイレイナが大暴走してドンチャン騒ぎになった挙げ句に目出度し目出度しで丸く収まるというオチ。リナが最後は怒り心頭でドラグスレイブをぶちかますのと同じ。正直なところ私の感覚から言えば、今回の内容は完全に満点なんですが、これって今時の若いファンから見たらどうなんでしょうね。私の感覚で満点ってことは「何これ?この漂ってくる昭和臭は?」ってとこなんかな(正確に言えばスレイヤーズは平成になるんだろうけど)。それに今まで散々「美しい魔女」って強調していたこの作品にとって、ヒロインの描き方がこれで良いんだろうか? まあ元々のこの作品が取っていた路線とかなりかけ離れた印象を受けますんで、来週以降は通常通りに突然に暗黒変して、ヒロインも「あっしには関わりのないことで」ってスタンスに戻るんだろうな。

 賛否あるような気がしますが、こういうエピソードがあって初めて、ヒロインが血の通ったキャラになるように感じますね。何しろ今までやけにこのヒロインは冷血に見えてましたから。

 

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